天寧駅

天寧駅 (廃駅)

天寧駅は、かつて北海道釧路市貝塚町（現在の貝塚3丁目）に存在した、日本国有鉄道（国鉄）根室本線の貨物支線に設けられた貨物駅でした。事務管理コードは▲110475。しかし、国鉄の鉄道貨物輸送縮小計画の影響を受け、1984年（昭和59年）に惜しまれつつも廃止されました。

歴史

天寧駅の歴史は、大正時代に遡ります。

1922年（大正11年）頃：釧路駅 - 上別保駅間からの、株式会社釧路木材倉庫の専用線敷設が計画されました。
1923年（大正12年）9月25日：鉄道省根室本線の釧路駅 - 上別保駅（後の別保駅）間から分岐する形で、天寧駅が開業。当初は釧路駅 - 上別保駅間に設置されているという扱いでした。
1925年（大正14年）3月16日：釧路駅 - 上別保駅間の釧路臨港鉄道接続点が別保信号場として開設され、運賃計算上の接続駅となったことに伴い、運賃計算上は別保信号場から根室本線が分岐する形となりました。
時期不詳（大正15年頃）：支線の南側に大日本人造肥料釧路工場（後に日東化学工業が工場を買収）が設置され、専用線が敷設されました。
1928年（昭和3年）11月11日：別保信号場が一般駅として東釧路駅が開業し、引き続き運賃計算上の分岐駅となりました。
時期不詳（昭和5年前後）：支線が釧路川河畔の木材土場に沿って南へ延伸されました。
1940年（昭和15年）1月15日：釧路駅 - 当駅間の貨物運輸営業が廃止され、同日より東釧路駅 - 当駅間の貨物運輸営業が開始。施設上も東釧路駅から分岐する支線となり、改キロ（当駅 - 東釧路駅：1.5 km）されました。
時期不詳（昭和20年代中頃）：支線北側から内陸側へ、太平洋炭礦の付帯工場（火力発電所、練炭工場等）専用線が延伸されました。
1960年（昭和35年）11月：北海製罐が釧路工場を支線北側に設置しました。
1984年（昭和59年）2月1日：支線廃止に伴い、天寧駅も廃駅となりました。

駅名の由来

駅名は、駅周辺の地名に由来します。「てんねる」と読まれることもあったようです。アイヌ語の「テイネイ（teine-i）」（湿っている・ところ＝湿原）または「テイネル（teine-ru）」（湿っている・道）のいずれかが語源であると考えられています。

駅構造

天寧駅は、北側に伸びた支線の中間地点に位置し、本線を挟んで2本の側線を有する構内でした。駅舎は構内中央の内陸側に設置されていましたが、後に支線のスイッチバック点（南北に伸びた支線のほぼ中間点）の河川側へ移転し、構内と駅舎が大きく離れた珍しい構造となっていました。

初期の地図の多くは、本線から直接北へ分岐する形で描かれており、昭和3年版の線路一覧略図でも別保信号場からではなく、本線途中から北側へ分岐するように描かれていました。その後、東釧路駅構内から釧路駅側へ本線に沿った後、北側にある当駅方向へスイッチバックする形になったと考えられています。

駅跡

廃駅後、貝塚町（現在の貝塚3丁目）の駅構内を囲むように、両側に隣接して昭和40年代に数棟のカマボコ型農協倉庫が建てられましたが、これらは現在も残されています。南側の材木町へ延伸していた貨物支線周辺は、廃線前の昭和50年代から既に木材需要がなくなったため荒れ地となっていましたが、民間業者によってソーラー発電所が計画され、設置工事が進められています。支線に沿って操業していた日東化学工業や北海製罐の工場は撤去され、跡形もありません。軌道はほとんど撤去されましたが、東釧路駅から橋南幹線道路の陸橋まで、根室本線脇にわずかに残されています。

隣の駅

日本国有鉄道

根室本線 貨物支線

東釧路駅 - 天寧駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
廃駅
太平洋石炭販売輸送臨港線（東釧路駅を介して天寧貨物線と接続）
浜釧路駅 - 釧路にあったもう一つの国鉄の貨物駅。
釧路開発埠頭 - 釧路にあったもう一つの貨物専用鉄道。

外部リンク

1961年（昭和36年）撮影航空写真 - 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス（※貨物支線が最大延長になった頃の状況）

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