天明屋尚

天明屋尚：伝統と革新を融合させる現代美術家



天明屋尚（てんみょうや ひさし、1966年2月10日 - ）は、埼玉県出身の現代美術家です。本名で活動しており、レコード会社のアートディレクターを経て、現代美術家としてのキャリアをスタートさせました。彼の作品は、日本画の伝統的な技法と現代的なテーマを融合させた独自の世界観が特徴です。

ネオ日本画と「BASARA」の概念



天明屋は、日本画と現代風俗を融合させた独自の概念「ネオ日本画」を提唱しています。これは、伝統的な日本画の要素を取り入れつつ、現代社会の風俗や文化を反映させた新しい表現方法です。また、彼は、日本のストリート文化に根付く華美で破壊的な美の系譜を「BASARA（婆娑羅）」と総称し、この概念を自身の作品制作の基盤としています。スサノオのような神話の神々、南北朝時代の婆娑羅、戦国時代の傾奇者、幕末の奇想絵師など、歴史上の反骨精神を持つ人物たちをモチーフに、独自の美意識を表現しています。

国際的な評価と活動



2003年には、第6回岡本太郎記念現代芸術大賞展で優秀賞を受賞。2006年には、サッカーW杯ドイツ大会のFIFAワールドカップ公式アートポスターに日本代表作家として参加するなど、国際的にも高い評価を受けています。2008年には、作品「RX-78-2 傾奇者 2005 Version」が、香港のクリスティーズオークションで約6400万円で落札され、話題となりました。その他、数々の作品が数千万円単位で落札されており、その作品は世界中のコレクターから注目を集めています。

2010年には、国際美術展である第17回シドニー・ビエンナーレに参加。同年、書籍『BASARA』の出版に合わせて、初の主催・企画・キュレーションとなるBASARA展を開催しました。2012年から2013年には、コマーシャルギャラリー「TENGAI GALLERY」をプロデュースし、2014年からはTENGAIプロジェクトを始動。2019年からはギャラリーMUMONに活動拠点を移し、精力的に活動を続けています。

多岐にわたる活動



天明屋の活動は、絵画制作にとどまらず、雑誌連載、映画、広告、書籍など、多岐にわたっています。

  • - 雑誌連載: 「BURST」、「D.D.D」、「GETON」、「TATTOO BURST」、「Bien」、「SENSE」といった雑誌で、自身の芸術観を表現する「誌上芸術」を連載。
  • - 映画: ドキュメンタリー映画「≒天明屋尚」では主演を務め、松本人志監督の映画「大日本人」ではデザインを担当。また、細野ひで晃監督の映画「鈍獣」では劇中画を提供しました。
  • - 広告: NIKEや日本たばこ産業（JT）、フジテレビ、XLARGE®などの広告にも参加し、幅広い分野で活躍しています。
  • - 書籍: 自身の作品集や著書も多数出版。代表的なものに、『ジャパニーズ・スピリット』、『傾奇者』、『Tenmyouya Hisashi』、『BASARA 越境する日本美術論』などがあります。
  • - その他: 日本経済新聞の朝刊小説の挿絵や、アクリルガッシュとのコラボレーションなど、様々なプロジェクトにも携わっています。

主な展覧会



天明屋は、国内外で多数の個展やグループ展に参加しています。

  • - 個展: 「Japanese Spirit」（東京）、「画強」（東京）、「傾く（かぶく）」（東京）、「MADE IN JAPAN」（東京）、「闘魂」（東京）、「韻」（東京）など、多数の個展を開催。
  • - グループ展: 「One Planet under a Groove」（ニューヨーク、ミネアポリス、アトランタ巡回）、「天明屋尚と暁斎展」（埼玉）、「アメリカン・エフェクト」（ニューヨーク）、「ガンダム展」（大阪、東京、宮城、愛知、北海道、京都、鹿児島巡回）、「ベルリン - 東京展」（ベルリン）、「第17回シドニー・ビエンナーレ」（シドニー）、「バイバイキティ!!!」（ニューヨーク）など、国内外の主要な美術館やギャラリーでの展示に参加。

代表作



天明屋の代表作は、彼の芸術観を象徴する多様なシリーズや作品で構成されています。

  • - Japanese Spirit シリーズ: 1997年から2021年にかけて制作された全18点のシリーズ作品。
  • - 反骨諷刺絵巻、武闘派列伝シリーズ: 2000年から2002年にかけて制作された全22点のシリーズ作品。
  • - 現代日本若衆絵図　鎌倉　九人の侍: 2001年に制作された作品。
  • - ネオ千手観音: 2002年に制作された作品。
  • - 蹴球之図［2006 FIFAワールドカップ公式アートポスター］: 2004年のFIFAワールドカップ公式アートポスター。
  • - RX-78-2 傾奇者 2005 Version: 2005年に制作された作品で、オークションで高額落札されたことでも有名。
  • - 飛ビ出ス百鬼夜行洛中洛外図屏風: 2017年に制作された六曲一双の屏風。

まとめ



天明屋尚は、伝統と現代を融合させた独自のスタイルで、日本の美術界に新たな風を吹き込んでいる現代美術家です。「ネオ日本画」や「BASARA」といった概念を提唱し、絵画制作のみならず、幅広い分野でその才能を発揮しています。彼の作品は、国内外で高い評価を受け続けており、今後の活動にも目が離せません。

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