天満 (稲美町)

兵庫県加古郡稲美町 天満

兵庫県加古郡稲美町の南西部に広がる地域であり、かつて存在した加古郡天満村の領域を概ね引き継いでいます。この地域は、加古川市、明石市、そして神戸市といった周辺の主要都市に接しており、交通の要衝ともなりうる位置にあります。

地域の概要

天満地域の面積は約1,441ヘクタールで、これは稲美町全体の約4割を占める広大な範囲です。地域内の土地利用は非常に多様です。中央部には主に住宅地が形成されており、多くの人々が暮らしています。一方、南部は工業地帯として発展しており、様々な企業が進出しています。これらの市街化されたエリアを除くと、大部分は市街化調整区域となっており、ここでは農業が盛んに行われています。特に、この地域は『天満大池』をはじめとする多数のため池が点在することで知られ、稲作を中心とした農業を支える重要な役割を果たしています。

地理

地形的には、加古川によって形成された高位段丘面と、曇川沿いの谷平野や沖積段丘に位置しています。高位段丘上には、小さな河川によって削られた谷平野が入り込んでいるため、稲美町全体と比較すると、この地域には比較的起伏のある地形が見られます。

人口

2012年度末のデータによれば、天満地域の人口は10,739人、世帯数は7,962世帯となっています。

歴史

「天満」という地名の起源は、国安地区にある氏神『天満神社』に由来すると伝えられています。かつての天満村は、1889年（明治22年）に六分一村、岡村、国安村、国岡新村、北山村、中村、国北村、森安村、和田新村、幸竹新村、中一色村といった周辺の11村が合併して誕生しました。村役場は1916年（大正5年）に国岡新に設置され、翌1917年（大正6年）には幸竹新が幸竹に、和田新が和田に、国岡新が国岡へとそれぞれ改称されています。その後、1955年（昭和30年）に母里村、加古村と共に合併し、現在の稲美町が発足しました。

交通

残念ながら、地域内に鉄道路線はありません。最寄りの鉄道駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）山陽本線の土山駅となります。地域内の公共交通としては、神姫バスによる路線バスが運行されています。道路網については、都市幹線道路として二見稲美三木線が、主要地方道として兵庫県道65号神戸加古川姫路線が通っています。さらに、兵庫県道148号大久保稲美加古川線、兵庫県道377号野村明石線、兵庫県道378号六分一神出線、兵庫県道381号野谷平岡線、兵庫県道514号志染土山線などの一般県道が地域を結んでいます。

公共施設

地域内には多様な公共施設が存在し、住民の生活を支えています。

公園:
稲美中央公園（いなみアクアプラザ、いなみ野体育センターなどを備える総合公園）
いなみ野水辺の里公園（自然との共生をテーマにした公園）
大沢池スポーツ公園（運動施設と遊具、池がある）
サン・スポーツランドいなみ（多目的グラウンド）
万葉の森（万葉集の世界を表現した日本庭園、郷土資料館や特産品販売所が近い）
いなみ文化の森（稲美町立図書館、コスモホール、ふれあい交流館がある文化拠点）
福祉施設: コスモス児童館、総合福祉会館、シルバーワークプラザ（加古郡広域シルバー人材センター稲美支部）
保育所: バンビ第一保育園、バンビ第二保育園
郵便局: 稲美天満郵便局

寺社

神社: 天満神社
寺院: 円光寺（高野山真言宗）、清久寺（曹洞宗）

教育機関

地域内には、幼稚園から高等学校、特別支援学校まで多様な教育機関が立地しています。

幼稚園: 稲美町立天満幼稚園、稲美町立天満南幼稚園、稲美町立天満東幼稚園
小学校: 稲美町立天満小学校、稲美町立天満南小学校、稲美町立天満東小学校
中学校: 稲美町立稲美中学校、稲美町立稲美北中学校
高等学校: 兵庫県立東播磨高等学校
特別支援学校: 兵庫県立いなみ野特別支援学校
各種学校: 土山自動車学院

主な企業

南部の工業地帯を中心に、多くの企業が事業所を構えています。代表的なものとして、六甲バター稲美工場、東洋ゴム工業兵庫工場、神戸屋土山工場、KCM（旧川崎重工業 建設機械部門）、神戸ペイント本社工場、文明堂稲美工場、神戸物産、ノーリツ土山工場、ADEKA明石工場、村上給食播磨営業所などが挙げられます。

天満地域は、歴史的な背景を持ちつつ、住宅、工業、農業、そして豊かな水辺景観が共存する、稲美町の中でも特徴的なエリアと言えるでしょう。

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