天皇旗

天皇(てんのうき)



天皇は、近現代において天皇行幸などの際に、天皇象徴)として用いられる日本のです。その形状は、典憲二元主義の下、宮内省達と皇室令、そして勅令という二つの法的根拠に基づいて定められてきました。

概要



全般



菊花の意匠は古くから存在し、鎌倉時代頃には皇室の紋として定着しました。公式に皇室の紋として「十六八重表菊」が定められたのは、1869年(明治2年)の太政官布告第802号と、1871年(明治4年)の「皇族家紋制定ノ件」によるものです。さらに同年には、行幸の際に用いるとして、紅地に菊花紋章を配したが規定されました。

1889年(明治22年)には、宮内省達第17号によって天皇などが制定され、同達第18号によって、明治4年の布告で定められた章が天皇として再整理されました。

宮内省達第17号による天皇の定義は以下の通りです。

地色:紅
菊章:金
横:縦の1と1/2
菊心:面の中心
菊心径:縦の1/19
菊全径:縦の4/6

1926年(大正15年)には、皇室令第7号「皇室儀制令」によって、菊花紋章天皇などの皇族が再定義されました。この際、明治22年の宮内省達17号は廃止されています。

皇室儀制令」による天皇の定義は次の通りです。

地色:紅
菊章:金
横:縦の1と1/2
菊心:面の中心
菊心径:縦の1/19
菊全径:縦の2/3 (※菊全径のみが変更、海軍章と表記統一)

第二次世界大戦後、1947年(昭和22年)に「皇室令及附属法令廃止ノ件」が施行されたことで、「皇室儀制令」も廃止され、天皇は法的根拠を失いました。

大日本帝国海軍



宮内省天皇の形状を定義した直後の1889年(明治22年)、勅令第101号「海軍章条例」によって、大日本帝国海軍における天皇が明確に定義されました。

「海軍章条例」による天皇の定義は以下の通りです。

地色:紅
菊章:金
横:縦の1と1/2
菊心:面の中心
菊心径:縦の1/19
菊全径:縦の2/3
「雨風ノ際用フルモノニハ黄布ヲ以テ菊章ヲ作ル」

この「海軍章条例」は1897年(明治30年)に全部改正されましたが、天皇の形状は明治22年の条例と同一でした。その後、1914年(大正3年)に「海軍章令」が制定され、同条例は廃止されました。「海軍章令」による天皇の定義も、明治22年の「海軍章条例」と同一です。

1932年(昭和7年)に「海軍章令」が全部改正された際、天皇の形状は「皇室儀制令」の定めによることとされました。ただし、「雨風ノ際…」の規定は残されました。日本の敗戦に伴い、陸海軍が解体されたことで、この「海軍章令」も法的根拠を失いました。

使用法



大日本帝国陸海軍



大日本帝国陸軍では、天皇の公式な鹵簿(ろぼ)の際、儀仗兵が天皇を捧持し、天皇の通行の6歩前から6歩後まで、礼式を行いました。

海軍章令では、天皇が乗御する際、艦船では大檣頂に、短艇では艇首の竿に天皇を掲げました。天皇が短艇で艦船に臨御する際は、短艇の着艦と同時に艦船に天皇を掲げ、短艇の天皇を撤去。艦船から短艇に乗御する際は、短艇の発艦と同時に短艇に天皇を掲げ、艦船の天皇を撤去しました。陸上の海軍官衙に臨御する際は、竿に天皇を掲揚しました。第二次世界大戦後、軍艦に乗る機会はなくなりましたが、1947年9月21日には、カスリーン台風による水没被害地を視察する際、乗船したボートに天皇が掲げられました。

現代の日本



サンフランシスコ平和条約発効後、昭和天皇の全国巡幸が始まりました。1954年の北海道訪問以降、天皇の公式な外出の際には、御料車のボンネットの竿や、外国での御召車の竿、国内に限り御召船たる民間船に天皇が掲げられるのが慣例となっています。小型艇では艇首に、中型大型船艇ではメインマストに掲げられます。

自衛隊のに関する訓令には、天皇に関する規定はありません。海上自衛隊章規則第2条第2項には、「天皇摂政及び皇族海上自衛隊における使用については、別に定める。」とあります。

海上自衛隊では、自衛隊の礼式に関する訓令により、自衛艦天皇を掲げている自衛艦その他の船舶に対して登舷の敬礼を行います。短艇は、天皇を掲げている自衛艦などに対して、約30メートル手前から敬礼を始め、約10メートル過ぎるまで行います。

参考文献



全般法令



皇室儀制令 - 国立国会図書館 日本法令索引(大正15年皇室令第7号)
皇室令及附属法令廃止ノ件 - 国立国会図書館 日本法令索引(昭和22年皇室令第12号) ※廃止

海軍関連法令



海軍章条例 - 国立国会図書館 日本法令索引(明治22年勅令第111号)
海軍章条例 - 国立国会図書館 日本法令索引(明治30年勅令第1号) ※全部改正
海軍章令 - 国立国会図書館 日本法令索引(大正3年勅令第11号)
海軍章令 - 国立国会図書館 日本法令索引(昭和7年勅令第359号) ※全部改正
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く陸軍刑法を廃止する等の政令 - 国立国会図書館 日本法令索引(昭和22年政令第52号) ※廃止

脚注



注釈




出典




関連項目



日本の一覧
お[[印]]

外部リンク



* 天皇』 - コトバンク

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