天眞正自源流

天眞正自源流の歴史と特徴

天眞正自源流（てんしんしょうじげんりゅう）は、室町時代の永正5年に創始された古武道の一派であり、剣術を中心に多彩な技術が含まれています。この流派は、新當流（後に天真正伝香取神道流）に由来し、飯笹長威斎に師事した小瀬与左衛門尉長宗（後に瀬戸口備前守政基）によって確立されました。

流派の成立と伝承

天眞正自源流兵法は、飯篠家直が創設した新當流の正統な後継として位置づけられています。小瀬与三左衛門長宗は、茨城県の常陸大田出身であり、佐竹氏の一族に属する小瀬氏に由来します。関ヶ原の戦いの後、平和な時代に突入した日本においても、肥後地方と薩摩地方には武道に関する多くの交流がありました。与三左衛門長宗は、薩摩藩に迎えられ、瀬戸口氏に養子に入ります。後に彼は瀬戸口備前之守政基と名乗りました。

その後、この流派は永正時代に発展し、伝書によると、瀬戸口備前守は薩摩の伊王滝において流派の奥義を究めたとされています。流派の名称は、天眞正自顕流から天眞正自源流に変更されたのは彼の晩年時と考えられています。

伝えられた技術と思想

この流派の技術や思想は、29代宗家の手元に残された三巻の伝書『尊形』、『察見』、『聴書』を通して受け継がれています。『尊形』には流派の技術の全容が、`『察見』にはその思想や兵法が、`『聴書』には先師の教えが記されています。特に『聴書』は流派の根本原則を成しており、瀬戸口備前守は流派の開祖としての地位を築いています。

天眞正自源流兵法は、時代に応じた技術が継承されており、剣法、居合、体術などの技術が融合した総合武道です。特に、古い伝承に基づく技術には、天眞刀や天眞剣、さらに「天地人陰陽五段之法形」などがあります。それに加えて、戦場における野太刀兵法や槍術、小太刀なども伝承されています。

流派の秘匿された歴史

流派内では、天眞正自源流の名を口にすること自体が危険視され、存在が秘匿されていたとされています。そのため、この流派の存在が公に確認されたのは明治期以降のことです。このことから、流派に関する伝承には多くの謎が残されています。

異論と考察

綿谷雪は、天眞正自源流の伝承について、示現流の流派に基づいたフィクションである可能性があると指摘しています。また、天眞正自源流は薬丸自顕流の第5代から分派した流派であると考えられており、薬丸自顕流から直接分かれた流派ではないとも言われています。このように、流派の起源については諸説が存在し、より詳しい研究が求められています。

結論

天眞正自源流は、日本の古武道の中で独自の歴史と技術を持つ流派であり、今なおその技術や思想が継承されています。流派の愛好者は、自然との調和を重んじながら、人間の身体能力や精神力を鍛錬することを目的としています。

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