天神山城 (備前国)

天神山城の概要

天神山城（てんじんやまじょう）は、岡山県和気郡和気町田土に位置する、日本の歴史的な城郭です。この城は岡山県指定の史跡としても知られています。城の建設は戦国時代の大名・浦上宗景によるものであり、連郭式の山城として特徴づけられています。城は和気町の中心から国道374号を北上した場所にある天神山西峰（標高390m）に築かれています。

この山の自然の地形は、城の防御に適しており、西側を流れる吉井川が天然の堀の役割を果たしていました。天神山城は、山頂の本の丸を中心に、北西方面に長大な二の丸と三の丸が配置されるなど、広大な城郭の設計がなされています。また、南東側には馬屋の段や堀切などの曲輪も見受けられ、この城の構造の複雑さが垣間見えます。堀切をさらに南東に進むと東峰に達し、そこには守りを固めるための石門や広大な太鼓の丸が確認できます。現在は、曲輪、土塁、石垣、空堀、侍屋敷跡といった数々の遺構が残っており、その歴史的価値を物語っています。

天神山城の歴史

浦上氏は、室町時代において播磨、備前、美作の地域を治めていた名門・赤松氏の守護代を務めていました。天神山城を築いた浦上宗景は、自らの父である浦上村宗をパトロンとして、赤松氏を超える勢力を誇示しました。天文20年（1551年）、村宗の嫡男と弟は備前に侵攻してきた尼子晴久への対応に関して意見の相違が生じました。政宗は恭順の構えを取る一方、宗景は激しく抵抗し、最終的には安芸の毛利元就と同盟を結びました。これを背景に、宗景は独自の城として天神山に城郭を築くこととなります。

この城を拠点に、宗景は毛利の支援を受け様々な戦闘で勝利し、政宗を追放し備前の支配を確立しました。また、当時の浦上被官であった宇喜多能家の孫、宇喜多直家を召し抱え、彼の助けを借りて地域の支配を強固なものとしていきました。永禄7年（1564年）、宗景の兄、政宗が襲撃を受けて死亡すると、政治状況は大きく変化しました。

宗景は天正元年（1573年）、織田信長と同盟を組み、備前・播磨・美作の支配権を保持していましたが、次第に家中での権力が宇喜多直家に移行していきました。そして、天正2年（1574年）、直家は宗景に反抗し、天神山城を攻撃しました。この中で、城の内応者が相次ぎ、ついに宗景は城を放棄し、播磨へと逃れることになります。

天神山城の陥落とその後

天神山城の陥落時期については長い間、天正5年（1577年）説が受け入れられていました。しかし、近年の研究により、天正3年（1575年）説が支持されるようになりました。この新たな見解は、寺尾克成や岸田裕之などの研究によって裏付けられ、多くの史料が証拠として用いられています。

天神山城の歴史的な価値は高く、当時の建築技術や城郭の防御戦略を示す貴重な資料として現在も研究が進められています。この城は、岡山県の歴史と文化を物語る重要な遺産として、多くの人々に親しまれています。

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