天糊製本

天糊製本（てんのりせいほん）は、主にノーカーボン紙や上質紙を使用し、複写伝票や単票を冊子状にまとめる製本方法です。この製本の特徴は、専用の事務用接着剤を使用することにあります。以下にその工程と詳細について説明します。

製本工程

1. 丁合と断裁: 複写伝票の場合、まず伝票丁合機で各用紙を重ね合わせます。その後、断裁機で不要な部分を切り落とし、用紙のサイズを整えます。
2. 糊付け: 断裁された用紙の天部分（綴じる側）に、事務用製本専用の接着剤を丁寧に塗布します。この接着剤は、ノーカーボン紙やカーボン紙にもしっかりと接着するように設計されています。
3. 乾燥: 糊付けされた用紙を自然乾燥させます。しっかりと乾燥させることで、糊の強度を確保します。
4. 分冊: 乾燥後、表紙と裏表紙の間をナイフで切り分け、冊子状に仕上げます。これにより、1冊ごとの伝票やメモ帳が完成します。
5. ミシン目加工と平綴じ: ミシン目加工が施されている場合は、綴じ機で平綴じを行います。これにより、各ページを切り離しやすくすることが可能です。
6. マーブル貼り: 必要に応じて、マーブル貼り機でマーブル紙やクロスを貼ります。これは、冊子の外観を美しく仕上げるための工程です。
7. 穴あけ加工: 必要に応じて、ドリル穿孔機で穴あけ加工を行います。これにより、ファイルへの綴じ込みが可能になります。

その他の製本方法

• - 裏表紙の仕様: 裏表紙に板紙を使用したり、ノーカーボン紙に必要な折り返し式の下敷き付き裏表紙（主に白板紙を使用）を取り付けたりすることもあります。
• - 100枚綴じ・50枚綴じ: 一冊の中紙が全て同じ印刷の場合、上質紙、A模造紙、ノーカーボン紙などを使用し、100枚（通称：100天）または50枚（通称：50天）ごとに員数機で合紙を入れます。紙揃え機で紙を揃えつつ、合紙ごとに手作業で表紙と裏表紙を挿入します。その後、断裁、糊付け、乾燥、分冊、マーブル貼り（貼らない場合もあり）、穴あけ加工を行い、完成となります。

適用範囲

天糊製本は、その汎用性の高さから、さまざまな用途に利用されています。

• - 複写伝票: ノーカーボン紙やカーボン紙を使用した複写伝票の冊子。
• - 単票: 一枚ずつ剥がして使用するタイプの伝票。
• - メモ帳・ノート: 社名、ロゴ、マーク、絵柄、罫線などが印刷されたメモ帳やノート。
• - 原稿用紙: 文字や図を書き込むための原稿用紙。

主な天糊製本用資材メーカー

天糊製本に使用される主な資材メーカーは以下の通りです。

• - 糊関連

- コニシ株式会社: 事務製本用接着剤（B1、B77など）を製造。

• - 感圧紙関連

- 富士フイルム: 感圧紙関連製品。
- 王子製紙: ノーカーボン紙「KSコピー」を製造。
- 日本製紙: ノーカーボン紙「CCP®」を製造。
- 三菱製紙: 情報用紙、ノーカーボン紙「三菱NCR紙スーパー」を製造。

これらの資材メーカーが提供する高品質な製品は、天糊製本の品質を支える重要な要素となっています。

天糊製本は、事務用品から文具、印刷物まで幅広い分野で利用される製本方法です。その使いやすさと多様な応用性が、多くの人に支持されています。

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