天羽々斬

天羽々斬（あめのはばきり）

天羽々斬は、日本神話に名を残す神剣であり、その歴史や伝承は非常に興味深いものがあります。この剣は、スサノオが出雲国のヤマタノオロチを退治する際に使用されたとして知られています。そして、石上神宮ではこの剣を「布都斯魂剣」として祀っています。

概要

天羽々斬は、スサノオが使った剣のうちの一つであり、他にも「十握剣」や「天十握剣」といった名前で知られています。この剣は出雲国に現れた有名な大蛇、ヤマタノオロチを斬るために用いられました。その戦いで大蛇の体内に隠されていた別の神剣、天叢雲剣が発見されました。

当初、スサノオの持つ剣は、古事記や日本書紀の中で特定の名称が与えられていなかったため、「十拳剣」などの一般名で呼ばれていました。「十拳剣」はその名の通り、一握りの長さとして約75.8cmから78.8cmを意味しています。スサノオはこの剣を使い、酒に酔った八岐大蛇を斬りつけましたが、その刃先は大蛇の尾を斬る際に欠けてしまったと言われています。

神話の中での役割

奈良時代に記された古事記によれば、スサノオは最初に所有していた十拳剣を天照大御神との誓約の場で神に折られ、その際に剣は三つに分けられました。その後、出雲国へと向かいクシナダヒメを救うため、スサノオは再び十拳剣を手にしました。

ヤマタノオロチとの戦いの中で、スサノオはこの剣を振るい、大蛇を見事に斬り倒しました。大蛇の体内から出てきた天叢雲剣は非常に鋭い剣であり、のちに草薙剣として崇拝され、天照大神に献上されました。天叢雲剣は後に三種の神器の一つとされ、日本の皇室の重要なシンボルとなっています。

名称と呼称

天羽々斬という名は、古語拾遺に登場するもので、「羽々」は具体的には大蛇を意味します。日本書紀にはこの剣に複数の異名が存在し、「蛇之麁正」や「蛇之韓鋤」「天蠅斫剣」といったさまざまな呼び名があることが記述されています。特に「天蠅斫剣」については、ある伝説に基づき、刃の上を蠅が飛んできて、自然に切れて落ちたという言い伝えも存在します。

現在における祀られ方

天羽々斬剣は、現在石上神宮にて保管されており、布都御魂剣とともに本殿の内陣に祭られています。この鉄刀は明治時代に発掘されたもので、その長さは約120cmの片刃の刀です。また、他には60cmの両刃の鉄剣も存在し、これも同じく明治時代に出土したものですが、天羽々斬剣としては片刃刀が選ばれています。

ご注意いただきたいのは、桓武天皇時代には、石上神宮の神宝が天皇に祟りをもたらしたという記録も存在し、非常に重要な位置を占めていることです。

このように、天羽々斬剣は日本神話の中で重要な役割を果たし、その存在は現代に至っても影響を及ぼしています。

もう一度検索