布都御魂

布都御魂（ふつのみたま）とは

布都御魂は日本の記紀神話に登場する霊剣で、またの名を韴霊剣や布都御魂剣とも呼ばれています。この剣は、神々の力を象徴するものであり、特に神武天皇に関連付けられています。その名称に含まれる「ふつ」は、物事を「断ち切る様」を意味しており、武器としての特性を暗示しています。

表記に関する考察

布都御魂の神名にも異説が存在し、特に「佐士布都神」の「さじ（佐士）」に関しては「さひ（佐比）」の誤記であると見なされることが多いです。一方で、國學院大学の神名データベースでは、「指」の濁音化や形状の狭さを表す「狭」という解釈も紹介されています。これらの表記は、布都御魂の神々しさを反映したものと考えられています。

伝承の中の布都御魂

伝説によると、布都御魂は建御雷神によって使用され、葦原中国を平定する際の重要な役割を果たしました。神武東征の際、ナガスネヒコとの戦いで困難を極めていた神武天皇は、高倉下が持参したこの剣によって危機から救われたとされています。この剣の力は、軍勢を毒気から解放し、戦に勝利をもたらしたと言われています。

宗教と文化の中での位置づけ

布都御魂は、神武天皇の治世下に、物部氏や穂積氏の祖である宇摩志麻治命によって宮中で祭られました。崇神天皇の代には、物部氏の伊香色雄命の手によって石上神宮に移され、御神体としての地位を確立しました。布都御魂大神は、布都御魂の霊的表れとして、今なお多くの信者に崇敬されています。

現存する布都御魂

布都御魂は、明治時代に発掘され、本殿内陣に奉安されています。発掘を行ったのは大宮司の菅政友であり、彼は刀鍛冶師の月山貞一によって作られた布都御魂剣の複製も奉安しました。この剣は内反りの片刃の鉄刀として知られ、全長は約85cmとされています。石上神宮にはこの他にも天羽々斬（布都斯魂剣）が奉安されています。

鹿島神宮との関係

また、鹿島神宮にも布都御魂剣または韴霊剣と呼ばれる直刀が伝わっており、制作時期は奈良時代末から平安時代初期とされています。この剣は国宝として指定されており、鹿島神宮の宝物館に展示されています。布都御魂は神武天皇に下される前は鹿島神宮の主神タケミカヅチに付属していたとされ、後に二代目が作られたことで現在の鹿島神宮に伝わる布都御魂剣が誕生したと考えられています。

脚注と関連情報

布都御魂に関する詳しい情報や関連する神社、神名データベースについては、各種特設サイトや文献を参照してください。特に、公式な神社のサイトや日本国語大辞典などの信頼できるリソースは研究に有益です。

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