天藤製薬

天藤製薬株式会社

天藤製薬株式会社（あまとうせいやく、英文表記: AMATO PHARMACEUTICAL PRODUCTS, LTD.）は、大阪府豊中市に本社を構える日本の製薬会社です。特に痔疾用薬の分野では国内有数のメーカーとして知られており、主力ブランドである「ボラギノール」は、その商品名やテレビCMの「痔にはボラギノール」というフレーズと共に広く認知されています。

会社概要と沿革

当社の歴史は古く、1813年（文化10年）に丹後国加佐郡内宮村（現在の京都府福知山市）の皇大神社（元伊勢内宮）門前で薬種商「天津屋藤助」として創業したことに始まります。法人組織としては、1921年（大正10年）10月11日に8代目天津屋藤助である大槻欽三氏によって天藤薬化学研究所が設立されたのが端緒です。同年には日本初の痔疾治療新薬とされる痔疾用薬「ボラギノール坐薬・軟膏」を発売しました。

その後、当社の製品は信頼性を高め、1927年（昭和2年）には宮内省御用達医薬品に採用され、1944年（昭和19年）には痔疾用薬として唯一の戦時指定医薬品に指定されるなど、重要な役割を果たしました。1950年（昭和25年）1月6日には株式会社へと組織変更し、社名を現在の天藤製薬株式会社に変更、大槻欽三氏が初代社長に就任しました。

技術革新にも積極的に取り組み、1962年（昭和37年）には最新鋭の坐剤自動成型機を導入し、日本で初めて坐剤製造の自動化に着手しました。1970年（昭和45年）には「ボラギノール」のテレビCMの放映を開始し、認知度をさらに高めました。同時期には医療用製品の拡充も進められました。

本社機能は、1971年（昭和46年）に京都府福知山市へ移転した後、1992年（平成4年）には大阪市中央区に大阪本社を開設しました。工場の整備も進められ、1990年（平成2年）には京都府福知山市に福知山工場が竣工しています。また、1995年（平成7年）には本社内に創薬センターを設置し、研究開発体制を強化しました。

かつて当社は武田薬品工業の関連企業という位置づけでしたが、2021年（令和3年）8月31日をもってロート製薬株式会社の子会社となり、ロート製薬グループの一員として新たな経営体制のもと再出発しました。2023年（令和5年）4月1日からは、これまでアリナミン製薬に委託していた一般用医薬品の販売を自社で行う体制に移行しています。

近年では、医薬品に加え、健康食品や化粧品の開発・販売にも注力しており、2022年（令和4年）には直営ECサイト「BORRAオンラインショップ」を開設し、これらの製品を展開しています。

事業内容と主な製品

当社の主要な事業内容は、医薬品の研究開発、製造、販売です。現在の事業所は大阪府豊中市の本社・営業部、兵庫県三田市の三田工場、京都府福知山市の福知山工場があります。

主力製品群である「ボラギノール」シリーズは、痔疾の様々な症状に対応する製品を展開しています。医療用医薬品としては「ボラザG坐剤」「ボラザG軟膏」「ヘモクロンカプセル」などがあり、一般用医薬品としては「ボラギノールA」「ボラギノールM」の坐剤、軟膏、注入軟膏タイプ、内服薬の「内服ボラギノールEP」「内服ボラギノールEX」、漢方製剤の「内服ボラギノール 当帰建中湯」、便秘薬の「ボラギノールスムース便秘薬」など多岐にわたります。一般用医薬品の販売は2023年4月より自社にて行っています。

また、ECサイト限定で健康食品「ボラケア」シリーズ（機能性表示食品を含む）や化粧品「ボラソフト」シリーズの販売も行っています。過去には様々な種類のボラギノール製品や皮膚用薬「ドナクリーム」なども製造販売していました。

その他の活動

企業広報活動として、テレビやラジオ番組の提供スポンサーも務めています。特に「ボラギノール」のテレビCMは長年放映されており、サウンドロゴや歴代の出演者も話題となりました。提供クレジットは時代によって変遷しており、現在は「天藤製薬」として表示されています。

長年にわたり痔疾用薬の分野で培ってきた専門性と信頼性を基盤に、ロート製薬グループの一員として、人々の健康とQOL（Quality of Life）向上に貢献することを目指しています。

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