天賞堂

天賞堂：銀座の老舗が歩む歴史と伝統

天賞堂は、東京都中央区銀座に本店を構える老舗企業です。宝飾品、時計、そして鉄道模型など幅広い商品を取り扱うことで知られており、その歴史は1879年、銀座尾張町に印房店として創業されたことにまで遡ります。当初は篆刻を主としていましたが、その後時計や貴金属の販売へと事業を拡大していきました。

創業から発展、そして再建へ

創業者の江澤金五郎は、革新的な経営手腕で天賞堂を成長させました。日本初の宣伝カーや美人コンテストへの景品提供など、斬新なマーケティング戦略で注目を集めました。夏目漱石の作品にも登場するほど、戦前の銀座においては著名な存在であったと言われています。スイス時計の輸入代理店となり、日本海軍への納入実績も持つなど、事業は順調に拡大しましたが、1929年には昭和恐慌の影響で破産を経験します。

その後、小売専業に転換し、組織を株式会社に改組することで再建を果たしました。しかし、江澤家は経営から退き、新本家が事業を引き継ぐこととなります。この頃には、大金塊を陳列窓に飾るなど、話題性のある試みも積極的に行っていました。しかし、この大金塊は盗難事件に巻き込まれ、警視庁も捜査にあたりましたが未解決に終わりました。

鉄道模型事業の隆盛

1949年、当時の社長の趣味であった鉄道模型の販売を開始。これが天賞堂の新たな柱となります。当初は進駐軍を主な顧客としていましたが、その後本格的な生産体制を整え、アメリカへの輸出も開始しました。天賞堂製の鉄道模型は、宝飾品製造で用いられる高度な技術を駆使した高級ブラスモデルとして高く評価され、国内外で高い人気を誇ります。近年はプラスチック製やダイカスト製の製品にも取り組み、幅広い顧客層への対応を進めています。

銀座本店とその他の店舗

銀座本店は、かねてより天賞堂の顔として親しまれてきました。特徴的な天使の像は、銀座の名所の一つとしても知られています。2019年から建て替え工事が行われ、仮移転を経て、2023年に銀座四丁目に新たな「天賞堂ビル」が完成し、営業を再開しました。

他にも、過去には千葉、横浜、新宿などにも店舗を展開していましたが、現在では銀座本店が中心となっています。銀座本店では、貴金属、時計、そして鉄道模型など、幅広い商品を3階で取り扱っています。

オメガ・セントラル鉄道

天賞堂では、1949年から銀座本店に展示用の鉄道模型レイアウト「オメガ・セントラル鉄道」を設置しています。幾度の変更を経て、現在では千葉県長柄町に移設されています。アメリカ中西部の風景を再現した大規模なレイアウトは、多くの鉄道模型ファンを魅了しています。

天賞堂と社会貢献

天賞堂は、事業活動だけでなく社会貢献にも取り組んできました。創業者の遺志により設立された「天賞文庫」は、現在も大多喜町立図書館として地域に貢献しています。

困難と挑戦を乗り越えて

天賞堂の歴史は、順風満帆ではありませんでした。昭和恐慌による破産や盗難事件、経営陣の対立など、様々な困難を経験してきました。しかし、その度に工夫と努力を重ね、現在に至るまで事業を継続しています。歴史と伝統を誇る天賞堂の未来は、更なる発展が期待されます。

まとめ

1879年の創業以来、天賞堂は常に変化と革新を繰り返しながら、時代に合わせて事業を展開してきました。宝飾品から鉄道模型まで、多様な商品群と高い技術力、そして歴史に裏打ちされた信頼感は、天賞堂の大きな魅力です。銀座の街に息づく老舗企業の、更なる発展に期待しましょう。

もう一度検索