天野明弘

天野 明弘（あまの あきひろ）

天野明弘氏は、1934年2月17日に大阪府で生まれ、2010年3月25日に亡くなった日本の著名な経済学者です。主に国際経済学や環境経済学を専門とし、神戸大学や関西学院大学で長年にわたり教育と研究に従事しました。

経歴

1956年に神戸大学の経営学部を卒業し、1958年には同大学の大学院経営学研究科の修士課程を修了しました。その後、経営学部の助手となり、1961年には講師に昇進、1964年には助教授に就任します。1963年にはロチェスター大学からPh.D.を取得し、さらに1966年には大阪大学でも博士号を取得しました。

1967年から1970年には大阪大学の社会経済研究所で助教授を務め、1970年に神戸大学に復職、1973年には教授に昇進しました。さらに、1988年から1990年まで神戸大学経営学部の学部長、1991年から1993年まで総合情報処理センター長を務めました。

1995年には神戸大学を定年退官し、関西学院大学の総合政策学部で教授として教壇に立ち、その後初代学部長にも就任するなど、教育に熱心に取り組みました。2001年には財団法人地球環境戦略研究機関の関西センター所長に、2004年には兵庫県立大学副学長に任命されています。

教育・研究

天野氏は後進の育成に情熱を注ぎ、教え子たちに温かく接しながらも、学業に対して厳格な姿勢を崩さない教育者として知られています。彼の指導を受けた学生たちは「ゼミナールでは優しい顔を見せ、卒論の締切が近づくと自宅に泊めてもらったこともあった」と語っています。しかし、無断欠席が3回続くと厳しく対処する姿勢もあったようです。このように、彼は教育の質を重んじる姿勢を貫きました。

ロチェスター大学での指導教員であるロナルド・ジョーンズも彼の才能を称え、「My greatest debt is to Akihiro Amano」と述べるなど、その実力は広く認知されていました。さらに、ライオネル・マッケンジーによると、天野氏はノーベル賞受賞の研究にも関連する資料作成にも関与していました。

活動

経済企画庁の経済研究所においては、EPA世界経済モデルの構築に寄与しました。1990年代以降、研究の焦点を国際貿易から気候変動にシフトし、1993年には気候変動に関する政府間パネル（IPCC）の第三作業グループに参加し、第二次評価報告書の執筆に貢献しました。また、環境省の中央環境審議会委員として、京都議定書の温室効果ガス削減目標の達成に向けた経済的手法の導入を提言し、現在の経団連の取組については批判的な立場を表明していました。

受賞歴

天野氏はその業績に対して多くの賞を受賞しています。1978年には松永賞（社会科学部門）、1982年には日経・経済図書文化賞を受賞し、1996年には環境保全功労者表彰を受けました。また、2000年には紫綬褒章、2009年には瑞宝中綬章を受章しています。

著書・共著

彼は数多くの著作を残しており、単著では『貿易と成長の理論』や『日本の国際収支と為替レート』などがあり、共著としては『国際経済学』などがあります。また、多くの翻訳や論文もあり、国際経済や環境に関しての研究に多大な影響を与えています。彼の経歴と業績は、日本の経済学界において重要な地位を占めています。

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