天願桟橋

天願桟橋（てんがんさんばし）

沖縄県うるま市昆布に位置する天願桟橋は、在日アメリカ海軍が管理する港湾施設です。遠浅の海に突き出した桟橋は、最大2万トン級の船舶が接岸可能で、主に弾薬や危険物の輸送に利用されています。

概要

天願桟橋は、沖縄本島におけるアメリカ海軍の重要な拠点の一つです。同じく米軍基地であるホワイトビーチ地区では取り扱うことのできない、弾薬などの危険物の揚陸施設として使用されています。この施設は、嘉手納弾薬庫地区への物資輸送において重要な役割を果たしています。桟橋の沖合には、陸軍貯油施設への燃料供給のための「送油ポイント」があり、タンカーによる油類の搬入も行われています。

所在地: 沖縄県うるま市昆布
面積: 約31,000平方メートル
桟橋: 長さ約640メートル、幅約22メートル
提供水域面積: 6.25平方キロメートル
管理: アメリカ海軍
用途: 港湾用地

周辺には、キャンプ・コートニーやキャンプ・マクトリアス、キャンプ瑞慶覧などの米軍施設が点在しており、軍事的な要衝としての重要性を示しています。

沿革

天願桟橋の歴史は、第二次世界大戦後の1945年に始まります。当初は海兵隊基地として使用され、水上飛行場が建設されましたが、台風により破壊されました。その後、1950年に桟橋が建設され、嘉手納弾薬庫地区などへの弾薬搬入港として利用されるようになりました。

1957年には、核弾頭搭載ミサイル「ナイキ・ハーキュリーズ」の配備に関わる施設の一つとして、天願桟橋が挙げられています。1960年代には、ベトナム戦争の激化に伴い、施設の拡張が行われました。しかし、この拡張に伴い、米軍による土地の強制接収が行われ、地域住民との間で激しい闘争が繰り広げられました。

1966年には、アメリカ公文書に爆発物や化学兵器が天願桟橋で取り扱われていたことが記録されています。また、1971年には、化学兵器の輸送作戦「レッドハット作戦」が行われ、天願桟橋がその拠点の一つとなりました。この作戦では、嘉手納弾薬庫から化学兵器が天願桟橋へと輸送されました。しかし、住民の強い反対運動により、米軍は一部土地の接収を断念し、返還しました。

1990年には、湾岸戦争の勃発に伴い、施設の活用が活発化し、地域住民を不安にさせました。

昆布の土地闘争

天願桟橋の拡張を巡っては、米軍による強制的な土地接収に対して、地元住民による激しい抵抗運動（昆布の土地闘争）が繰り広げられました。住民たちは「昆布土地を守る会」を結成し、パラシュートでつくられた小屋で抗議活動を行いました。この闘争の中から生まれた歌「一坪たりとも渡すまい」は、沖縄の人々に愛されています。

レッドハット作戦

天願桟橋は、在沖米軍のサリンなどの毒ガス貯蔵が問題化した後、化学兵器の搬出港としても使用されました。「レッドハット作戦」は、その代表的な事例として知られています。

関連項目

沖縄の米軍基地
アメリカ合衆国 > アメリカ軍 > 在日米軍 > アメリカ海兵隊
在日米軍再編
昆布の土地闘争
* レッドハット作戦

もう一度検索