太平洋・北米パターン

太平洋・北米パターン（PNAパターン）とは？

太平洋・北米パターン（PNAパターン、Pacific-North American pattern）とは、太平洋西部から北アメリカ大陸にかけて広がる地域で観測される、大気循環のテレコネクションパターンです。簡単に言うと、遠く離れた地域の気候が互いに影響し合う現象で、太平洋と北米の気候システムを繋ぐ重要な役割を担っています。

PNAパターンの発見とメカニズム

PNAパターンは、エルニーニョ・南方振動（ENSO）による北米大陸の気候への影響を研究する過程で発見されました。熱帯域での大気対流活動の変化、特にインドネシア近海における対流活動の盛衰が、ロスビー波と呼ばれる大気波動の伝播パターンを変化させます。この変化は、太平洋から北米大陸にかけて、高気圧帯と低気圧帯が交互に現れる波状の気圧配置を形成します。

この高低気圧の配置の変化が、北米大陸を含む広範囲の地域で、高温や低温、大雨や干ばつといった異常気象を誘発する要因の一つとなっています。例えば、高気圧が北米大陸に張り出すと、乾燥した晴天が続き干ばつを引き起こす可能性があります。逆に低気圧が卓越すると、大雨や寒波に見舞われる可能性が高まります。

PNA指数の算出方法

PNAパターンの強さを示す指標として、PNA指数が用いられます。アメリカ海洋大気庁（NOAA）が算出しているPNA指数は、500hPa高度（気圧が500hPaになる高度）の平年からの偏差を用いて計算されます。具体的には、以下の4つの地域の500hPa高度の平年差を、特定の式に基づいて計算することで求められます。

1. 北緯15～25°、西経180～140°（インドネシア近海）
2. 北緯40～50°、西経180～140°（アラスカ沖）
3. 北緯45～60°、西経125～105°（カナダ西部）
4. 北緯25～35°、西経90～70°（米国南部）

これらの地域の500hPa高度の偏差を足し引きすることで、PNAパターンの強さと、高気圧と低気圧の配置パターンを数値化します。正の値は、典型的なPNAパターン（北米大陸に高気圧）を示し、負の値は逆のパターンを示唆します。

PNAパターンの成長・励起メカニズム

PNAパターンの発達メカニズムは、マッデン・ジュリアン振動（MJO）との関連性が指摘されています。MJOは、インド洋から太平洋にかけて数千キロメートルにわたって移動する大気中の波動現象です。MJOの活動が活発になると、PNAパターンが励起されやすくなるという研究結果が報告されています。MJOとPNAの相互作用は、地球規模の大気循環を理解する上で重要な課題となっています。

まとめ

PNAパターンは、太平洋と北米の気候を繋ぐ重要なテレコネクションパターンであり、異常気象の発生に大きく関与しています。PNA指数を用いた監視は、将来の気候予測や防災に役立つ重要な情報源となっています。今後の研究により、PNAパターンのより詳細なメカニズム解明が進むことが期待されます。

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