太平洋石炭販売輸送臨港線

臨港線の概要

臨港線（りんこうせん）は、北海道釧路市に位置する貨物専用の鉄道路線で、春採駅と知人駅を結びます。この路線は、もともと太平洋石炭販売輸送（現在の新太平洋商事）が運営していました。1925年2月に開業されたこの路線は、一時的に循環線にする構想がありましたが、最終的にはその計画は実現しませんでした。1979年には、太平洋石炭販売輸送が運営を引き継ぎ、長きにわたり地域の交通を支えてきました。

開業から廃止までの歴史

臨港線は、釧路臨港鉄道によって運営され、1925年2月には春採駅と知人駅間の4.1 kmが開業しました。最初は貨物営業のみでスタートし、1953年には永住町駅が開業し、1963年までは旅客営業も行われていました。特に農産物や生活物資の輸送が多く、地域経済に貢献していたことが特徴です。

しかし、2019年に突如として運行停止が決まりました。同年2月7日、荷主である釧路コールマインが石炭輸送の契約を解除する意向を示したため、太平洋石炭販売輸送もこれに応じ、3月末をもって運休すると発表しました。そして、6月末には正式に線路が廃止されました。

運行形態と特徴

臨港線では、石炭を運搬するためにディーゼル機関車が貨車の両端に連結され、春採駅と知人駅間でのシャトル運行が行われていました。荷役作業は機関車からの遠隔制御により実施され、そのため貨車には特殊な電気連結器と回路が設置されていました。運行は主に平日のみ行われており、かつての釧路炭礦ではフル稼働状態にありましたが、釧路コールマインに運営が移ると出炭がない日も多くなり、頻繁には運行されなくなりました。

廃線後の状況

路線が廃止された後の2020年5月時点では、線路は既に撤去されていましたが、地元の有志が踏切の廃材や写真、旧春採駅で保管されている鉄道車両を活用し、産業遺産として観光に役立てられることを目指していました。しかし、その後の契約交渉や費用問題により、2022年10月からは解体が進められることとなりました。

線路データ

• - 営業キロ：春採駅から知人駅までの距離は4.0 km
• - 軌間：1,067 mm
• - 駅数：2駅（春採駅、知人駅）
• - 複線区間：なし（全線単線）
• - 電化区間：なし（全線非電化）
• - 閉塞方式：自動閉塞式
• - 最高速度：40 km/h

まとめ

臨港線は、1925年の開業以来、釧路の石炭産業を支える重要な役割を果たしてきましたが、石炭需要の減少に伴い、ついに2019年にその歴史に幕を下ろしました。過去の活気ある運行や地域への貢献は、今も地元の人々の心に残っており、鉄道の思い出を語り継いでいることでしょう。

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