太平真鏡流

太平真鏡流について

太平真鏡流（たいへいしんきょうりゅう）とは、若菜豊重（若菜真鏡斎）が創設した伝統的な剣術流派です。この流派は、剣術に加え、居合、薙刀術、さらには拳法（柔術）も学べるという多様性を特徴としています。流派の名称は、創設地である下野（現在の栃木県）の太平山に由来し、豊重自身の号である「真鏡斎」にも関係しています。

流派名はさまざまな表記があり、「大平真鏡流」や「泰平真鏡流」ともされることがありますが、基本的な理念と技術は共通しています。

若菜豊重の生涯

若菜豊重は1727年（享保12年）、下野の都賀郡横堀村（現在の栃木県栃木市大平地域）に生まれました。彼は剣術を学ぶために小林右門のもとで柳生流を習得し、技術を磨いていきました。1746年（延享3年）には江戸に進出し、今枝良台（理方一流の開祖）、中西子武（中西派一刀流の第2代）、森戸偶太（浅山一伝流の第9代）など、著名な武道家たちと試合を行った経験を持ちます。このような多くの交流を通じて、彼自身の技術や知識を更に深めていきました。

1778年（安永7年）、若菜は下野の太平山で約1ヶ月間の修行を行った後、太平真鏡流を創設しました。これにより、彼は自らの技術を体系化し、多くの弟子たちにその教えを広めていくこととなります。

道場と弟子たち

太平真鏡流は、東京都八王子市にある道場を拠点に発展しました。この道場には八王子千人同心と呼ばれる集団の仲間が入門し、彼らの武道教育において重要な役割を果たしました。特に八王子千人同心に広まったことで、流派は地域内での認知度が高まり、多くの千人頭や組頭たちもこの流派に加わるようになりました。

八王子千人頭十家の門人の中には、河野通泰（四郎左衛門）、石坂徳誼、原胤禄、山本篤敬、志村貞慎、荻原友寿、山本敬典などがいます。これらの門人は、太平真鏡流の技術を継承し、取り組み続けることで流派の発展に寄与しました。

参考文献

太平真鏡流の詳細については、数馬広二の研究「八王子千人同心における武芸―大平真鏡流を中心として―」が参考になります。この研究は日本武道学会の『武道学研究』第25巻第1号に掲載されており、流派の背景や弟子たちの活動について詳しい情報を提供しています。

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