太田資直

太田資直：駿河田中藩初代藩主の生涯

太田資直は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した大名です。彼は駿河国田中藩の初代藩主として知られ、掛川藩太田家の3代当主にあたります。波瀾に満ちた生涯は、幕府要職への登用から失脚、そして家督相続へとドラマチックに展開しました。

誕生と幕府でのキャリア

資直は、万治元年（1658年）、大坂城代や寺社奉行を歴任した名家、浜松藩主太田資次の次男として誕生しました。幼少期から優れた才能を示し、寛永12年（1672年）には従五位下・備後守に叙位任官、その後備中守へと昇進しています。これは、彼の高い能力と将来性を示す証左と言えるでしょう。

田中藩への移封と幕臣としての活動

貞享元年（1684年）、父の死去に伴い家督を相続。摂津・河内国・下総国などを含む5万2000石の所領を継承しました。弟の資方には2000石が分与され、資直の領地は5万石となりました。同年7月には、駿河田中へと移封されました。

田中藩主として着任後も、資直の幕府における活躍は続きます。貞享2年（1685年）には奏者番、若年寄に任命され、さらに摂津守に遷任。翌年には、5代将軍徳川綱吉の近習にも抜擢されました。しかし、病気のため近習を辞任したことが綱吉の怒りを買い、出仕停止処分を受けました。この処分の期間は元禄元年（1688年）12月18日まで続きました。

死去と家督相続

宝永2年（1705年）、資直は田中藩で48歳で亡くなりました。不幸にも長男から四男までの息子たちは皆早世しており、家督は末子で五男の資晴が継承することとなりました。

系譜

資直の系譜は、彼の生涯を理解する上で重要な要素です。父は浜松藩主太田資次、母は能勢頼次の養女で松平昌重の娘です。正室は戸田氏定の娘であり、彼女との間に五男、資晴が誕生しました。その資晴は、後に家督を継ぎ、田中藩の存続に貢献した人物です。また、松平乗賢の正室も資直の娘であったとされています。

まとめ

太田資直の生涯は、華々しい幕府でのキャリアと、その後の失脚、そして家督相続という劇的な展開で彩られています。彼は、能力ある幕臣として活躍した一方、綱吉の怒りを買って出仕停止処分を受けるなど、厳しい時代を生き抜きました。彼の功績と苦悩は、江戸時代中期の大名社会の一端を垣間見せてくれる貴重なものです。また、子孫への家督相続という点においても、彼の生涯は大きな意味を持っています。彼の死後、家督を継いだ資晴は、田中藩を維持発展させるために尽力したことでしょう。これらの事実は、太田資直という人物を多角的に理解するために欠かせません。

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