太祝詞神社

太祝詞神社（ふとのりとじんじゃ）は、長崎県対馬市美津島町加志に鎮座する、由緒ある神社です。かつては「加志大明神」や「賀志宮」とも呼ばれ、地域の人々から深く崇敬されてきました。旧県社としての格式を持ち、その歴史は古代にまで遡ることができます。

祭神

この神社の主な祭神は、太詔戸神（ふとのりとのかみ）、別名太祝詞神（ふとのりとののかみ）と、雷大臣命（いかずのおみのみこと）の二柱です。太詔戸神は、神話において重要な役割を担う神であり、雷大臣命は、この地域に深い関わりを持つ神と考えられています。

歴史

太祝詞神社の歴史は非常に古く、その存在は奈良時代初期にまで遡ります。806年（大同元年）に編纂された『新抄格勅符抄（しんしょうきゃくちょくふしょう）』には、「太祝詞神 二戸対馬島」という記述があり、この時すでに神社に対して神封戸2戸が与えられていたことがわかります。これは、当時から太祝詞神社が地域社会において重要な存在であったことを示しています。

さらに、平安時代の927年（延長5年）に編纂された『延喜式神名帳（えんぎしきじんみょうちょう）』には、「貞タ太祝詞神社 名神 大」と記載されており、名神大社として朝廷から高い格式を与えられていたことがわかります。名神大社とは、国家的な祭祀が行われるべき重要な神社であり、太祝詞神社が古代において重要な役割を担っていたことの証です。

境内

太祝詞神社の境内には、雷大臣命の墓と伝えられる壇が設けられています。この壇は、地域の人々によって大切に守られており、神社の歴史と深く結びついた場所として尊重されています。この場所を訪れる人々は、古代の歴史と神話に思いを馳せることができます。

まとめ

太祝詞神社は、長崎県対馬市において、古代からの歴史と文化を伝える重要な神社です。祭神である太詔戸神と雷大臣命は、地域の人々にとって重要な信仰の対象であり、神社の境内は、その歴史と神話を感じることができる神聖な場所となっています。古代から現代に至るまで、地域の人々の精神的な支えとなってきた太祝詞神社は、これからもその歴史と文化を未来へと伝えていくことでしょう。

参考文献

『長崎県の地名』（日本歴史地名大系43）、平凡社、2001年、ISBN 4-582-49043-3

関連項目

森神社 (天理市) - かつて「太祝詞神社」と称した。
* 祝詞神社 - 長崎県佐世保市に鎮座する神社。

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