太陽は、ぼくの瞳

イラン映画『太陽は、ぼくの瞳』：心の光を映し出す感動作

1999年、イランで公開されたマジッド・マジディ監督作品『太陽は、ぼくの瞳』（原題: Rang-e Khodā）は、世界中の人々の心を捉えて離さない感動的な物語です。モントリオール世界映画祭グランプリ受賞、日本でも文部省選定映画に選ばれるなど、高い評価を受けています。

本作の主人公は、視覚障碍を持つ少年モハマド。彼は盲学校に通うため、故郷を離れて都会で暮らしていました。夏休みとなり、生徒たちがそれぞれ実家へと帰る中、モハマドも父親に迎えに来られます。母親のいないモハマドは、父親と、優しい祖母と妹の待つ、のどかな村へと帰郷します。

ステップの大自然に囲まれた村は、モハマドにとってかけがえのない場所です。視覚に頼れない彼にとって、自然は五感を研ぎ澄ませて感じ取る対象。そよ風、鳥のさえずり、土の感触、草木の香り…全てが、彼にとって豊かで美しい世界を織りなしています。彼は、触れ、感じ、聴くことで、自然の息吹を肌で感じ取ります。

向学心に燃えるモハマドは、妹と一緒に村の学校に通いたいと願います。しかし、再婚を考えている父親は、モハマドを学校に通わせることに反対します。父親は、モハマドに大工として働くことを強制しようとするのです。

この物語は、視覚障碍を持つ少年の視点を通して、家族の愛、自然の美しさ、そして教育の大切さを問いかけています。モハマドの純粋な心、そして彼を優しく見守る人々の温かさが、観る者の心を深く揺さぶるでしょう。

マジッド・マジディ監督による繊細な演出、美しい映像、そして心を打つ音楽は、モハマドの心の内面を鮮やかに描き出しています。観客は、モハマドと共に喜び、悩み、成長していく過程を、まるで自身の体験のように感じることでしょう。

『太陽は、ぼくの瞳』は、単なる障害者を描いた映画ではありません。それは、人間の普遍的な感情、家族愛、友情、そして人生の希望を描いた、感動的な人間ドラマです。この映画は、私たちに、目に見えるものだけではない、人生の真の豊かさを教えてくれます。

キャストには、イランの才能豊かな俳優たちが名を連ね、それぞれの役柄を自然体で演じています。また、日本の吹き替え版では、井上倫宏、岩崎ひろし、長克巳、藤本譲、星野充昭、定岡小百合、伊藤和晃、藤原美央子、林玉緒、吉田有沙、渡辺悠、稲葉洋介、小林良也、入野自由など、実力派声優陣が参加しています。

スタッフは、監督・脚本にマジッド・マジディ、製作にアリ・カルーとネーディ・キャリミ、音楽にアリレザ・コハンダリー、撮影にマームド・ダウーディ、編集にハッサン・ハッサンドストと、イラン映画界を代表する才能が集結しています。彼らの卓越した技術と情熱が、この感動的な作品を作り上げました。

『太陽は、ぼくの瞳』は、何度観ても心に響く、忘れられない映画です。ぜひ、この感動をあなた自身の目で、そして心で感じてみてください。

もう一度検索