夫婦漫才 (テレビドラマ)

夫婦漫才：戦後から漫才ブームまでを駆け抜けた夫婦の軌跡

2001年12月30日、TBS系列で放送されたテレビドラマ『夫婦漫才』。豊川悦司が監督・脚本を務めた本作は、彼の長編監督作品第一作目として知られています。それ以前にも、豊川悦司はフジテレビ系列で放送された『美少女H』内でミニドラマの監督・脚本を務めた経験がありましたが、『夫婦漫才』は長編作品としては初めての挑戦でした。

本作は、豊川悦司が以前から温めていた構想を元に、コメディタッチで描かれた夫婦漫才師の物語です。主演は、映画『Love Letter』やドラマ『Love Story』で共演経験のある中山美穂と、当時豊川悦司の後輩俳優だった甲本雅裕。2人は、戦後から漫才ブームを駆け抜ける夫婦を熱演しました。

ドラマの舞台は大阪。夫婦漫才をテーマにしていること、そして豊川悦司自身が関西出身であることから、吉本新喜劇の芸人たちが多数出演しています。また、中山美穂と同音異字の芸名で知られる中山美保が、老年の中山美穂を演じたことも話題となりました。

TBS系列のBS-i（現BS-TBS）では、地上波放送に先駆け12月24日に先行放送されました。その人気は放送にとどまらず、2003年には中村龍史演出、十朱幸代と矢崎滋を主演に迎え、舞台作品としても上演されました。さらに、2017年には大地真央と中村梅雀を主演に迎え、ラサール石井演出で再演。その後も2019年、2021年と再々演を重ねるなど、舞台でも高い人気を誇っています。

波瀾万丈な人生と、笑いと涙の漫才

ドラマは、大阪の下町で兄妹のように育ったノブコとノブロウの物語から始まります。空襲の中、18歳のノブロウと13歳のノブコは結ばれ、子供を身ごもったノブコと結婚。しかし、すぐにノブロウは召集令状を受け、戦地へ赴くことになります。

戦火の中、ノブロウは愛する妻と子供のために生き延び、5年後、満身創痍の体で故郷へ戻ってきます。しかし、戦争で足に重傷を負ったノブロウは思うように働くことができず、家計を支えるのはノブコでした。近所のスナックで働き詰めのノブコは、家事に育児に追われながらも、怪我を言い訳に引きこもる夫への不満を募らせていきます。

ある日、ノブコの不満は爆発。毎晩のように続く激しい夫婦喧嘩は、次第に近所でも評判になり始めます。その喧嘩が「面白い」と評判になったことから、大手芸能プロダクションにスカウトされ、2人の人生は大きく変わります。漫才ブームの波に乗り、人気漫才コンビとして成功を収める2人。順風満帆な芸能生活を送る中、ノブロウの実母の死、幼い娘の病死、長年住み慣れた長屋の取り壊し、長男の国際結婚など、数々の困難を乗り越えていきます。

70歳を超えた2人は、波乱万丈の人生と漫才人生に幕を閉じます。このドラマは、笑いと涙、そして人生の機微を描いた、忘れられない感動的な物語です。

キャストとスタッフ

辻本ノブコ：中山美穂、中山美保（老後）
辻本ノブロウ：甲本雅裕、夢路いとし（回想シーン）
その他：チャーリー浜、坂田利夫、吉本新喜劇の芸人多数

原作・演出・脚本：豊川悦司
プロデューサー：源孝志、三瓶慶介、関本広文
製作：ホリプロ、TBS、BS-i
* 美術：愛甲悦子（旧姓／吉田）

劇中では、スタジオアルタで漫才を披露するシーンも描かれています。このドラマは、戦後の日本社会の変遷と、夫婦の愛と絆をコミカルに描いた、忘れられない作品として記憶されています。

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