失われた地平線 (1973年の映画)

映画『失われた地平線』の概要

『失われた地平線』（うしなわれたちへいせん、英語: Lost Horizon）は、1973年に公開されたアメリカの映画で、コロンビア・ピクチャーズが製作しました。原作となる小説は、イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンによるもので、1937年に初めて映画化されています。この作品はそのリメイクにあたり、前身の映画の要素を踏襲しつつ、新たな解釈が加えられました。

制作背景と特徴

この映画は、豪華なミュージカル作品として制作されましたが、興行的にも批評的にも失敗を喫しました。特に、ミュージカル映画のジャンル自体に影響を与え、ハリウッドにおけるこのスタイルの作品が衰退する一因となりました。制作にかかった費用は約20億円に上り、特に目を引くのがシャングリラのオープン・セットです。このセットは、壮大なラマ廟と広大な庭園から成り、制作には約3ヶ月を費やしました。

庭園には、本物の草花が使用され、造花は一切使われていません。また、映画に登場する60メートルの滝のセットは、200トンのセメントとプラスチックで作られ、当時『クレオパトラ』以来の規模を誇る大掛かりなものでした。

ストーリーとキャラクター

物語は、原作や1937年版の映画に根ざしたテーマを引き継いでいます。主人公たちは、異なる背景を持ちながら、あるきっかけでシャングリラと呼ばれる理想郷にたどり着きます。劇中では、彼らの冒険や人間関係が描かれ、心温まるミュージカルナンバーが展開されます。特に原作からの影響を強く受けたキャラクターたちの交流が、物語の中心的な軸となっています。

主なスタッフとキャスト

映画の監督はチャールズ・ジャロットが務め、製作はロス・ハンターが担当しました。脚本はラリー・クレイマーによるもので、撮影にはロバート・サーティースが携わりました。音楽は人気作曲家バート・バカラックが手がけ、ハル・デヴィッドが作詞を行いました。

キャストには、ピーター・フィンチがリチャード・コンムウェイ役、リヴ・ウルマンがキャサリン役、サリー・ケラーマンがサリー役、ジョージ・ケネディがサム役として出演しています。また、マイケル・ヨーク、オリヴィア・ハッセー、ジョン・ギールグッドといった実力派の俳優たちも加わり、多彩なキャラクターがそろいました。特にシャルル・ボワイエが演じた「ザ・ハイ・ラマ」は圧巻の存在感を醸し出しています。

総評

『失われた地平線』は、ハリウッドのミュージカル映画史に一種の転機をもたらした作品です。豪華なセットやキャストは魅力的でしたが、興行的には期待を下回る結果となりました。それでも、原作の持つ幻想的なテーマや魅力を映し出した作品として、今なお忘れられない映画の一つです。

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