失業白書

失業白書

『失業白書』（しつぎょうはくしょ）は、1997年の春に中部日本放送（CBC）が制作を手掛け、TBS系列の「ドラマ30」枠で平日午後に放送されたテレビドラマシリーズです。1997年3月31日から同年5月30日までの期間、月曜日から金曜日の13時30分から14時00分（日本標準時）にわたり、全45回が放送されました。このドラマは、ある家族が突然の失業という困難に直面し、その中で絆や生き方を見つめ直していく姿を、リアリティをもって描いています。

あらすじ

物語の中心となるのは、赤津家の主婦・礼（47歳）です。彼女は50歳を目前に控え、長年の夢であったキッチンプランナーとして独立するという新たな目標に向かって、情熱を傾けていました。そんな中、夫の良治は会社の課長として安定した生活を送っていましたが、勤務先の都合で仙台への単身赴任の話が持ち上がります。礼は、自身の新たなキャリアへの挑戦を祝う意味も込めて、家族全員で沖縄にある自身の生家を訪れる家族旅行を企画します。しかし、楽しいはずだった旅行は、沖縄に到着してすぐに思わぬ方向へ転がります。夫の良治が、突然、会社を辞職したことを家族に告白したのです。この予期せぬ出来事は、礼の夢や家族の計画に大きな波紋を投げかけ、一家は失業という厳しい現実と向き合うことになります。平穏だと思われた日常が崩壊し、家族それぞれの葛藤や、互いを支え合いながら再出発を目指す姿が、丁寧に描かれていきます。

キャスト

本作には、実力派の俳優陣が集結しました。主人公の赤津礼を演じたのは、情感豊かな演技で知られる范文雀。そして、突然の失業により苦悩する夫、赤津良治役をベンガルが演じ、夫婦のリアルな姿を体現しました。

赤津礼: 范文雀
赤津良治: ベンガル
赤津文治（家族）: 荒井注
赤津奈菜（家族）: 山本はるか
赤津高志（家族）: 崎本大海
三谷三郎: 徳井優
花山花子: 青木和代
日下部長: 内山森彦
野々村慎司: 白川達士
翔子: 福沢まりえ

その他、銀粉蝶、井上浩、片山美穂、持田篤、辻千春といった個性的な面々が脇を固め、物語に深みを与えています。

スタッフ

制作陣は以下の通りです。

脚本: 冨川元文
演出: 九鬼通夫、猪原達三、北川学
音楽: 丸山和範
プロデューサー: 富永晃一、池端俊二
制作: 中部日本放送（CBC）
制作協力: KANOX

脚本の冨川元文は、家族の絆や社会問題を丁寧に描き出し、演出陣もそれぞれの持ち味を生かして、ドラマチックでありながらも共感を呼ぶ映像世界を作り上げました。丸山和範による音楽は、登場人物の心情や物語の展開に寄り添い、感動を一層深めています。

主題歌

本作の主題歌には、香西かおりの楽曲「すき」が使用されました。切ない歌詞とメロディーが、失業という困難に立ち向かう家族の心情や、失われかけた絆を取り戻そうとするテーマと見事に調和し、ドラマの世界観を彩りました。

楽曲情報:

曲名: すき
歌: 香西かおり
作詞: 香西かおり
作曲: 玉置浩二
編曲: 若草恵

香西かおり自身が作詞を手掛けたこの曲は、多くの視聴者の心に響き、ドラマと共に記憶されています。

『失業白書』は、バブル崩壊後の日本が直面した経済的な困難や、それに伴う家族の変化といった社会背景を描きつつ、普遍的な家族愛や人間ドラマを描き出し、当時の「ドラマ30」枠を代表する作品の一つとなりました。午後のひとときに、視聴者に感動と共感を届けた作品です。

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