奇萊主山

奇萊主山（きらいしゅざん）は、台湾の中央山脈に位置し、花蓮県秀林郷と南投県仁愛郷の境界にそびえる標高3,560mの山です。奇萊山系の中核をなす山であり、台湾百岳の一つとして、多くの登山者に知られています。ただし、その標高は奇萊山系で最も高いわけではなく、北に位置する奇萊北峰の方が標高は高くなっています。台湾百岳の中では、20番目に標高の高い山です。

奇萊主山の名前の由来には、いくつかの説があります。一つは、この地域に住んでいたサキザヤ族が花蓮平原を「奇萊」と呼んでおり、その奥地にある山を「奇萊山」と呼んだとする説です。もう一つは、日本語の「嫌い」という言葉を音写したという説です。これは、この山の険しさからくるイメージを表しているのかもしれません。また、かつては「岐萊主山」や「䓫萊主山」とも表記されていたことがあります。

奇萊主山は、その登山難易度の高さと気候の変動しやすさから、台湾で最も登山事故が多い山として知られています。そのため、「黑色奇萊」という別名でも呼ばれています。この名前は、その危険性と困難さを象徴しており、登山者に対して常に警戒を促しています。登山ルートは非常に険しく、急峻な岩場や滑りやすい斜面が連続するため、十分な装備と経験が不可欠です。また、天候が急変しやすく、濃霧や豪雨に見舞われることも珍しくありません。そのため、登山計画は慎重に立て、常に最新の気象情報を確認することが重要です。奇萊主山への登山は、登山者にとって大きな挑戦であり、その達成感は格別なものとなるでしょう。しかし、その一方で、常に危険と隣り合わせであることを忘れずに、安全第一で登山を楽しむように心がけなければなりません。

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