奇跡 (2011年の映画)

映画『奇跡』：家族の絆と奇跡を願う感動の物語

2011年、是枝裕和監督によって世に送り出された映画『奇跡』。九州新幹線全線開通を記念して、JR九州とJR東日本企画の企画により製作された本作は、単なる企画映画の枠を超えた感動的な物語として、日本のみならず海外でも高い評価を獲得しました。

新幹線を舞台にした、兄弟の願い

物語の中心となるのは、両親の離婚により離れて暮らすことになった二人の兄弟、航一と龍之介です。兄の航一は鹿児島、弟の龍之介は福岡でそれぞれ生活しており、再び家族4人で暮らせる日を心から願っています。そんなある日、二人は九州新幹線が全線開業した日に、鹿児島発と福岡発の新幹線がすれ違う瞬間に願い事をすれば叶うという噂を耳にします。

この噂をきっかけに、兄弟は周りの大人たちを巻き込みながら、自分たちの願いを叶えるための計画を立て始めます。子供らしい純粋な発想と行動、そしてそれを取り巻く大人たちの温かいサポートが、物語に深みと感動を与えています。

是枝裕和監督による繊細な演出

是枝裕和監督は、本作で初めて「企画もの」の映画を手掛けました。しかし、鉄道好きとしても知られる監督は、JR九州からの制約をほとんど受けることなく、自身の感性とビジョンを自由に表現しています。

特に印象的なのは、子供たちを主役にした演出です。是枝監督は、前作『誰も知らない』と同様に、脚本を子供たちに渡さずに撮影を進めるという手法を採用。子供たちの自然な演技を引き出し、物語にリアリティを与えています。主演の兄弟役には、少年漫才コンビ・まえだまえだの前田航基と前田旺志郎が抜擢され、オーディションで監督の心を掴みました。子役たちの演技は、見る者の心を揺さぶるほどの繊細さと力強さに満ち溢れています。

豪華キャスト陣と美しい九州の風景

本作には、オダギリジョー、夏川結衣、阿部寛、長澤まさみ、大塚寧々、樹木希林、橋爪功ら、実力派俳優たちが多数出演しています。彼らの存在感が、物語全体をさらに引き立てています。

また、撮影は九州各地で行われ、美しい自然と街並みがスクリーンいっぱいに広がります。九州新幹線も物語の重要な要素として登場し、現代日本の風景と情感を効果的に描き出しています。

高い評価と数々の受賞

『奇跡』は、日本国内で高い人気を獲得しただけでなく、海外でも高い評価を得ました。イギリスの大手新聞『ガーディアン』が選ぶ年間ベストテンにランクインするなど、国際的な映画祭でも高い評価を獲得しています。数々の映画賞を受賞しており、その作品性の高さを証明しています。

主題歌も魅力的な作品

主題歌は、人気バンド・くるりが担当した「奇跡」。くるりのメンバー、岸田繁は映画の映像からインスピレーションを受け、この楽曲を制作したと語っています。力強くも繊細なメロディーは、映画の感動をさらに深めてくれます。

『奇跡』は、家族の愛、兄弟の絆、そして奇跡を願う心の温かさを感じることができる、忘れられない一本となるでしょう。是枝裕和監督の繊細な演出、豪華キャスト陣、美しい九州の風景、そして感動的なストーリー。全てが完璧に調和した、まさに奇跡のような映画です。

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