奈良俣ダム

奈良俣ダムの概要

奈良俣ダム（ならまたダム）は、群馬県利根郡みなかみ町に位置し、利根川水系の楢俣川に建設された多目的ダムです。1990年に完成したこのダムは、洪水調節、不特定利水、農地の灌漑、首都圏や群馬県への上水道供給、さらには県営発電を目的としています。特に高さ158メートルの中央土質遮水壁型ロックフィルダムとしての特性を持ち、利根川水系の中でも最も堤高が高いダムの一つとされています。

歴史的背景

奈良俣ダム建設の背景には、1949年の「利根川改訂改修計画」と1962年の「利根川水系水資源開発基本計画」があります。これらの計画に基づいて、利根川上流では様々なダムが建設され、洪水調節や水供給の役割を果たしてきました。しかし、首都圏の人口増加と工業地域の広がりによって水の需要がますます増加し、関東平野の農業技術の発展による耕地の拡大が新たな水の必要性を生み出しました。これを受けて水資源開発公団は計画を見直し、楢俣川に多目的ダム事業を1973年から始めました。

ダム完成時には、堤高が160メートルの栗原川ダムが建設中止となったため、奈良俣ダムは日本で堤高3番目の高いロックフィルダムとなりました。また、ダムの完成によって、下流の楢俣ダムは「須田貝ダム」と名を改めました。

観光スポットとしての魅力

奈良俣ダム周辺は観光名所としても知られています。須田貝ダムの人造湖である洞元湖へは、湯の小屋温泉方面から直進することができ、ダム内部へのアクセスも一般に開放されています。特にダム左岸には「ヒルトップ奈良俣」と呼ばれるダム資料館があり、訪問客はダムの歴史や機能について学ぶことができます。また、雪解けの季節になると、洪水吐きから流れ出す雪解け水の姿も見ることができ、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。

ダムの周辺環境

奈良俣ダムは、周辺に矢木沢ダムや藤原ダム、須田貝ダムといった他の数々のダムと共に位置しており、これらのダムは水管理だけでなく観光資源としても重要です。この地域は、手つかずの自然と人の手によって作られた美しい景観が融合した場所であり、訪れる人々にとっては絶好のレクリエーションスポットとなっています。

奈良俣ダムは、地域の水資源を守るだけでなく、訪れる人々に歴史や自然を感じさせる重要な場所となっています。

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