奈良部匠平

東京都出身の奈良部 匠平（ならべ しょうへい）は、1961年3月4日生まれの多才な編曲家・音楽プロデューサーです。

幼少期から家族の影響で音楽に親しみ、歌唱やヴァイオリンなどの楽器に触れていました。中学時代にはバンド活動に熱中し、ギターやキーボードを担当。同時に、多重録音を用いたオリジナルの楽曲制作を開始し、その才能の萌芽を見せました。高校時代には、尚美音楽院にてジャズ作編曲やピアノの専門的な指導を受け、さらに嵐野英彦氏のもとでクラシック作曲法の基礎を深く学びます。

作・編曲家でありプロデューサーの川口真氏からの強い勧めもあり、彼は作編曲家としての道を本格的に志すことを決意し、音楽の本場であるアメリカへ渡ります。名門バークリー音楽大学のジャズ作曲科に進学し、専門的な知識と技術を習得。卒業式では、世界的な音楽家であるクインシー・ジョーンズ氏から卒業証書を授与されるという栄誉に浴しました。

バークリー卒業後、日本に帰国した奈良部氏は、メジャーアーティストのサポートキーボーディストとして音楽活動を開始します。この経験を通じて、現場での演奏技術や感覚を磨きました。並行して、作編曲家としてのキャリアも本格的にスタートさせ、Virgo Musicに所属。そこで数多くのアーティストの作品に作編曲家として携わります。また、アーティストの楽曲制作にとどまらず、ミュージカルや映画音楽の世界にも活動の場を広げました。

特に、米米CLUBのサポートメンバーとしてキーボードを担当していた時期があり、その当時の名義は「ジュリアーノ奈良部」として知られています（ただし、編曲などの裏方の仕事では本名の奈良部匠平名義を使用していました）。米米CLUBの作品以外にも、渡辺美里、種ともこ、木根尚登といった日本のトップアーティストたちの作編曲を数多く手がけ、その才能を広く知らしめました。

日本での活動で確固たる地位を築いた後、彼はさらなる可能性を求めて、1994年以降は活動の拠点をアメリカ・ニューヨークに移します。ニューヨークでは、主にTVコマーシャルの音楽制作を中心に活動を展開。Johnson&Johnson、KFC、花王、Nissanといった日本の企業や、Pepsi、Maxwell House Coffee、CNNといった米国のグローバル企業のCM音楽を多数制作し、その手腕を発揮しました。また、米国のA&E、VH1、TBS、PBSなど、数多くのテレビ番組の音楽も手がけています。

ニューヨーク滞在中に、彼はインディーレーベル「L’atelier Clair inc.」を立ち上げ、若手アーティストの育成にも尽力しました。また、欧米やアジア、日本で国際的に活躍する和太鼓パフォーマンス集団「Drum TAO」とは深く関わっており、彼らの音楽監督として制作活動を継続的にサポートしています。

活動拠点をニューヨークに移した後も、彼は引き続きVirgo Musicに所属しており、日本国内でも精力的に音楽活動を続けています。奈良部匠平氏は、ポップスからジャズ、クラシック、舞台音楽、映像音楽に至るまで、ジャンルを超えた幅広いフィールドでその才能を発揮し、国内外の音楽シーンにおいて重要な役割を果たしているベテラン音楽家です。

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