奉安堂

奉安堂について

奉安堂（ほうあんどう）は、静岡県富士宮市に所在し、日蓮正宗の総本山である大石寺の重要な堂宇です。この堂宇は、御影堂の北側に建設され、本門戒壇の大御本尊を秘蔵するために設計されました。

歴史と経緯

奉安堂は、宗派設立から750年の節目を祝うために本門戒壇の大御本尊を安置するために建造されました。このプロジェクトは、元大石寺の67代目法主である日顕の指導のもと、2000年4月に着工し、2002年10月に完成しました。落慶法要が行われると、多くの信徒が集まり、奉安堂の誕生を祝いました。

昔、この場所には創価学会により寄進された正本堂が1972年に完成していました。しかし、1991年に創価学会が破門された後、同会の信者たちは1997年に日蓮正宗の信徒資格を失い、1998年には本門戒壇の大御本尊が奉安堂に移され、その後正本堂は解体されました。この経緯から、現奉安堂が建設されたことが分かります。

概要

奉安堂は、面積12988平方メートル、高さ55メートルにおよぶ壮大な宗教建築であり、その規模は奈良の東大寺の大仏殿をすっぽりと収容してしまうほどです。内部には、法主が着席するための特別な大導師席が位置しており、信徒用の座席は5004席、僧侶用の畳席は約240畳分があります。

建物の正面には広開門があり、門をくぐると寛げる照心庭が広がっています。晴れた日には、正面の通路から入場しますが、雨の日には左右の回廊を利用することで風雨をしのげるように工夫されています。

内部に入ると、まず「円信閣」と名付けられた前室が現れ、ここを通じて堂内へ進みます。戒壇大御本尊は秘仏として厳重に秘蔵されており、信徒以外の入場はできません。このため、堂内は「蔵」としての役割を持ち、無駄な装飾は施されていません。信徒は特別な形式で拝むため、「内拝」と呼ばれる儀式が行われます。この内拝は、広宣流布が実現するまでの間、一時的な本門戒壇堂と位置づけられています。

南東側には調整池と駐車場が併設されており、駐車場の北側には日本庭園も整備されています。

須弥壇

奉安堂内には須弥壇（しゅみだん）という特別な壇があります。ここには本門戒壇之大御本尊を安置した厨子が存在しており、防震のための防災設備として二重の自動扉が備えられています。須弥壇は、仏教の世界観において重要な地位を持つ「須弥山」を象徴しており、世界の中心を示しています。

須弥壇の周囲には、日蓮の影像を収めた宝塔や、日蓮の舎利骨を納めた舎利塔も同時に安置されています。

内拝

内拝（ないはい）は、奉安堂における特別な礼拝方法であり、一般には公開されていません。この内拝は、法主の特別な許可を得ることによって行えるもので、信徒は内拝券の取得が求められます。

御宝蔵

奉安堂の隣には御宝蔵（ごほうぞう）が位置し、大石寺の貴重な宝物を収納しています。1955年に創価学会義により奉安殿が建設されるまで、本門戒壇の大御本尊は御宝蔵で保管されていました。現在、奉安堂に安置された大御本尊は、長い歴史を経て、信徒たちに敬われ続けています。

奉安堂は、宗教的な重要性だけでなく、歴史的な価値も保有しており、訪れる信徒や一般の人々にとって、特別な意味を持つ場所となっています。

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