奠供山

奠供山（てんぐやま）は、和歌[[山県]]和歌[[山市]]和歌浦に位置し、玉津島神社の背後にそびえる山です。この山は、古代から景勝地として知られ、歴史的な出来事の舞台ともなっています。

歴史

奠供山の歴史は、奈良時代の聖武天皇の行幸に遡ります。神亀元年（724年）、聖武天皇は和歌浦を訪れ、その美しい景観に深く感銘を受けました。特に、山に登り海を望む景色を絶賛し、「この場所は最も優れている」と述べたと言われています。天皇は、この地を「明光浦（あかのうら）」と改名し、その美しさを守るために守戸を置くことを命じました。さらに、春と秋の二回、官人を派遣して玉津島の神と明光浦の霊を祀るように定めました。この詔が発せられた場所が奠供山であるとされています。

江戸時代の地誌である『紀伊国名所図会』では、奠供山を「伽羅山」とし、東に続く現在の雲蓋山を「天狗山」としていますが、『紀伊続風土記』では、「神亀元年御幸の時、登山望海此間最好と、詔し給ふは即此山なり」と記されており、奠供山こそが詔が発せられた場所であると断定しています。この記述は、奠供山が聖武天皇の行幸における重要な場所であったことを示しています。

また、天平神護元年（765年）には、称徳天皇が和歌浦を行幸し、南浜に「望海楼」が建てられ、7日間滞在したとされています。この望海楼について、江戸時代の儒学者である仁井田好古は、奠供山の南麓の市町にあったと考察しました。現在、奠供山山頂にある望海楼遺址碑（和歌[[山市]]指定文化財）には、その考察が刻まれています。この碑は、元々奠供山麓の市町川沿いに建てられていましたが、後に山頂に移されました。玉津島神社に所蔵されている慶応3年（1867年）改刻の「和歌浦玉出嶋社之圖」には、天保2年（1831年）～3年（1832年）頃に奠供山上に建てられたと考えられる拝所の姿が描かれています。

これらの歴史的事実から、奠供山は単なる山ではなく、古代から皇族に愛され、重要な祭祀の場でもあったことがわかります。現在では、山頂からの美しい眺望を楽しむことができる観光地としても知られています。

関連項目

• - 和歌浦
• - 聖武天皇
• - 玉津島神社

奠供山は、その歴史と景観の美しさから、和歌浦を訪れる人々にとって欠かせない場所となっています。山頂から望む景色は、訪れる人々に深い感動を与えることでしょう。

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