玉津島神社

玉津島神社の由緒と歴史

玉津島神社は、和歌山県和歌山市和歌浦中に位置する、由緒ある神社です。その起源は、仲哀天皇の皇后である息長足姫尊（神功皇后）が紀伊半島へ進軍した際、玉津島神の加護を受けたことに始まると伝えられています。この神社の祭神は、稚日女尊、息長足姫尊、衣通姫尊の三柱であり、それに明光浦霊が配祀されています。

古来より玉津島明神として知られ、和歌の神として住吉明神や北野天満宮と並び、和歌三神の一柱として尊崇されてきました。特に近世以降は、柿本人麻呂が和歌の神として祀られるようになり、この神社が和歌の聖地としてより一層重要視されるようになりました。

神亀元年（724年）、聖武天皇が和歌の浦を行幸された際、その美しい景観に感動し、この地の風致を守るために守戸を置き、玉津嶋と明光浦の霊を祀るよう命じました。これが玉津島神社が歴史に登場する最初の記録です。この時、歌人山部赤人が詠んだ歌は有名で、当時の玉津島が海中に点在する美しい島々であったことを物語っています。

平安時代には、藤原公任も玉津島を訪れ、中世には飛鳥井雅永や飛鳥井雅親といった歌道や蹴鞠の名手も参詣しました。これらの記録は、玉津島神社が古くから文化人や貴族に愛されてきたことを示しています。

天正13年（1585年）には羽柴秀吉が、慶長11年（1606年）には浅野幸長が社殿を再建し、その後、徳川頼宣によって本殿の改築など本格的な整備がなされました。寛文4年（1664年）には春秋2期の祭祀が復活し、現在もその伝統が守られています。境内には、頼宣が寄進した灯籠が残されており、近世に整備された玉津島神社は、和歌の浦の名所として多くの人々が訪れる場所となりました。

現在、玉津島神社を含む和歌浦一帯は、国指定の史跡・名勝としてその歴史的価値が認められています。

境内の見どころ

玉津島神社の境内には、多くの文化財が存在します。本殿は、浅野幸長によって再建されたもので、その後二度の改築を経て現在に至っています。その他にも、拝殿や石灯篭、社務所、小野小町袖掛の塀、金高稲荷社などがあります。これらの建築物や文化財は、歴史と文化の深さを感じさせてくれます。

祭祀と文化財

玉津島神社の例祭は毎年4月13日に行われ、多くの参拝者で賑わいます。神社には、国指定史跡・名勝の和歌浦に含まれる境内地をはじめ、和歌山県指定の神輿や、和歌山市指定の文化財である本殿、石灯篭、奠供山碑、三十六歌仙額、玉津島神社奉納和歌、玉津島神社文書などが存在し、歴史的、文化的に重要な価値を有しています。これらの文化財は、神社の歴史や地域の文化を今に伝える貴重なものです。

アクセスと周辺情報

玉津島神社へのアクセスは、南海和歌山市駅やJR和歌山駅から和歌山バス新和歌浦行きに乗車し、「玉津島神社前」で下車するとすぐです。周辺には、奠供山、和歌浦、雑賀崎、番所庭園、新和歌浦、紀州東照宮、和歌浦天満宮、不老橋、片男波海岸、養翠園など、多くの観光名所があります。これらの場所と合わせて、玉津島神社を訪れることをお勧めします。

結び

玉津島神社は、その美しい景観とともに、和歌の神として、また歴史と文化の薫り高い場所として、多くの人々に愛されてきました。この神社を訪れることで、日本の歴史や文化、自然の美しさを感じることができるでしょう。

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