奥山恵美子

奥山恵美子:仙台初の女性市長の軌跡



奥山恵美子(1951年6月23日生まれ)は、日本の地方公務員であり、政治家です。旧姓は熊地。2009年から2017年まで仙台市長を2期務め、宮城県初の女性首長、政令指定都市初の女性市長としてその名を刻みました。

生い立ちとキャリア



秋田県秋田市で生まれ、幼少期は国家公務員の父の転勤で各地を転々としました。秋田県立秋田高等学校から岩手県立盛岡第一高等学校へ転校し、東北大学経済学部を卒業後、仙台市役所に入庁しました。市役所では、生涯学習課長、女性企画課長、せんだいメディアテーク館長、市民局次長、教育長などを歴任。副市長在任中の2007年には、仙台市教育委員会教員採用試験の不正問題に関わり、注目を集めました。

仙台市長としての活躍



2009年7月、民主党と社会民主党の支援を受けて仙台市長選挙に初当選。政令指定都市初の女性市長として、その手腕を発揮しました。2012年には、東日本大震災からの復興への取り組みが評価され、ドイツ持続可能賞名誉賞を受賞。2013年の市長選で再選を果たしましたが、投票率は過去最低を記録しました。

2017年4月、3選を目指さず任期満了で引退。後任には、自公推薦の菅原裕典氏ではなく、同じく女性の郡和子氏が当選しました。

東日本大震災への対応



2011年3月11日の東日本大震災では、仙台市も甚大な被害を受けました。奥山市長は、被災地の首長や村井嘉浩宮城県知事とは異なり、リーダーシップが市民に十分に伝わらなかったと指摘されています。また、市民から「市長の姿が見えない」との苦情が市役所に寄せられたとされています。

震災後、奥山市長は中国大使と面会し、仙台市八木山動物公園へのジャイアントパンダ貸与を要請しました。中国側からは前向きな回答があったものの、尖閣諸島国有化による日中関係の悪化で交渉は中断。市議会や市民団体からも政治利用を懸念する声が上がりました。また、ダライ・ラマ14世との面会要請については、パンダ貸与交渉への影響を懸念して断ったと報道されました。

2014年8月には、東北六魂祭の海外開催を表明し、アメリカでの開催を目指しました。また、2015年3月にはミラノ国際博覧会への参加を決定しました。

国際会議誘致と課題



奥山市長は、国連防災世界会議の仙台誘致に尽力しました。2011年5月に誘致を表明し、1年間の活動を経て、2013年5月に仙台開催が決定。2015年3月には、仙台国際センターで会議が開催されました。また、2016年サミットの仙台誘致にも取り組み、財務大臣会合の開催を勝ち取りました。

一方、ラグビーワールドカップ2019の誘致には消極的な姿勢を見せました。開催条件として財政負担の軽減や主要試合の仙台開催を求め、受け入れられない場合は申請を取り下げるとしました。結果、仙台市は開催地に選ばれませんでした。

スポーツ振興のため「スポーツコミッションせんだい」を設立しましたが、ラグビー誘致での消極姿勢から実効性に疑問の声も出ています。

市民協働条例改正



奥山市長は、2期目の看板政策として市民公益活動促進条例の改正を目指しました。新条例では、市民の定義を拡大し、より多くの市民が市政に参加できるようにすることを目指しましたが、市議会からはカルト団体の関与を懸念する声が上がり、改正案は一時撤回されました。その後、修正案を再提出し、2015年7月に新条例が施行されました。

選挙不正問題と批判



2014年の衆議院議員総選挙で、仙台市青葉区選挙管理委員会が投票数を水増しした問題が発覚しました。奥山市長は職員への聞き取り調査を行いましたが、指示者が名乗り出なかったため刑事告発に踏み切りました。しかし、市議会からは内部調査の甘さを指摘され、第三者委員会の設置を求められました。奥山市長は委員会の設置に否定的な立場を取りましたが、再発防止のための委員会は設置されました。

2015年度には、コンプライアンス推進担当課長を新設し、各部局に朝礼を義務付けるなど再発防止策を講じました。水増しに関与した職員は懲戒免職となりましたが、奥山市長の減給処分は「甘い」と批判されました。

韓国光州市との関係



仙台市の姉妹都市である韓国・光州広域市慰安婦像が設置されたことについて、奥山市長は抗議を拒否しました。その理由として、「国際姉妹都市関係は国家レベルの外交とは異なる」とし、都市間の信頼関係を重視する立場を示しました。

まとめ



奥山恵美子は、宮城県初の女性市長として、数々の課題に果敢に挑み、仙台市政に大きな足跡を残しました。東日本大震災からの復興、国際会議の誘致、市民協働の推進など、その功績は多岐にわたります。一方で、震災対応の遅れ、選挙不正問題、国際関係への対応など、批判も少なからずありました。彼女の業績は、今後の地方政治を考える上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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