奥崎謙三

奥崎謙三：波乱に満ちた生涯と過激な思想

奥崎謙三は、1920年に兵庫県で生まれ、2005年に亡くなった日本の人物です。元陸軍軍人であり、戦後はバッテリー商、著述家、俳優としても活動しました。しかし、その生涯は数々の事件と過激な思想によって彩られています。自らを「神軍平等兵」と称し、アナーキストとしての立場を貫きました。

戦争体験と反骨精神

1941年、奥崎は陸軍に入隊し、ニューギニア戦線に送られました。そこで飢餓とマラリアに苦しみ、部隊は壊滅的な打撃を受けます。奥崎自身も負傷し、右手の小指を失いました。この過酷な戦争体験が、彼の反骨精神を形成する原点となります。敗走中には食料を奪うなど、上官に暴行を加えることもありましたが、露見することはありませんでした。終戦間際には連合軍に投降し、捕虜生活を送りました。帰国後も、船長への暴行事件を起こすなど、その反骨精神は衰えることがありませんでした。

戦後の活動と事件

戦後、奥崎はバッテリー商として生計を立てますが、1956年には不動産業者を刺殺し、傷害致死罪で10年の懲役刑を受けます。その後も、1969年には昭和天皇にパチンコ玉を発射する事件を起こし、暴行罪で服役しました。この事件は、当時の社会に大きな衝撃を与えました。さらに、1976年には皇室のポルノビラを配布したとして逮捕され、再び刑務所に入ることになります。

1980年代に入ると、奥崎は政治的な活動を活発化させます。参議院選挙に立候補したり、田中角栄の暗殺を計画したりするなど、その行動はエスカレートしていきます。1983年には、元上官の息子を殺害しようとして逮捕され、殺人未遂罪で12年の刑に服しました。

ドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、神軍』

奥崎の生涯は、原一男監督によるドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、神軍』で広く知られるようになりました。この作品は、奥崎の過激な行動と思想を克明に描き出し、国内外で高い評価を受けました。奥崎自身も、この映画を通じて自らの主張を社会に訴えかけました。

その他の活動と晩年

奥崎は、著述活動にも力を入れ、自らの思想を記した書籍を多数出版しました。また、晩年には映画『神様の愛い奴』にも主演するなど、その活動は多岐にわたりました。2005年に亡くなる直前まで、その過激な言動は変わることはありませんでした。

奥崎の死後、自宅や墓は撤去され、その痕跡はほとんど残っていません。しかし、彼の生涯と過激な思想は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

昭和天皇パチンコ狙撃事件の詳細

1969年1月2日、皇居の一般参賀において、奥崎は昭和天皇に向けてパチンコ玉を発射しました。これは、天皇に対する直接的な抗議行動であり、大きな波紋を呼びました。奥崎は、手製のゴムパチンコで複数回にわたりパチンコ玉を発射しましたが、幸いにも天皇に当たることはありませんでした。この事件をきっかけに、皇居のバルコニーには防弾ガラスが設置されるようになりました。公判では、性器を露出したり検事に小便をかけたりするなど、その行動は最後まで異常でした。

奥崎謙三の著書一覧

『ヤマザキ、天皇を撃て！』
『宇宙人の聖書!? 天皇ヒロヒトにパチンコを撃った犯人の思想・行動・予言』
『不敬列伝』
『田中角栄を殺すために記す 人類を啓蒙する手段として』
『殺人論 国家・権力者・法律の犠牲者に捧げる殺人犯の贈物』
『ゆきゆきて神軍の思想』
『非国民奥崎謙三は訴える!!! ゆきゆきて神軍の凱歌』
『奥崎謙三服役囚考 あいまいでない、宇宙の私』

関連作品

『ゆきゆきて、神軍』（1987年、原一男監督）
『神様の愛い奴』（1998年、大宮イチ・藤原章監督）
『亜人間 奥崎謙三』（2017年、原一男監督)

関連項目

ニューギニアの戦い
遠藤誠
原一男
安岡卓治
井出孫六
* 天皇制廃止論

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