奥村栄実

奥村栄実（おくむら てるざね）について

奥村栄実は、1792年に加賀藩の年寄である奥村尚寛の四男として生まれ、1843年に亡くなるまでの生涯において、加賀藩の重要な人物としての地位を確立しました。彼は、加賀八家の奥村宗家第11代当主であり、また国学者としても知られています。

生い立ちと家族

栄実の母は家老である大音厚曹の娘で、彼は家族の中で重要な役割を担って育ちました。享和3年（1803年）に父が亡くなった後、彼は翌年に家督を相続し、知行1万7000石を得ることになります。加賀藩の年寄としての地位上、彼は様々な役職を歴任し、その中には人持組頭や勝手方主付などが含まれます。

政治への関与と失脚

彼の政治キャリアは順調に思われましたが、文政元年（1818年）に藩主前田斉広により藩財政の問題で解任されてしまいます。しかし、その後の文政3年（1821年）には従五位下伊予守に叙任され、文政7年には丹後守へと遷任されました。彼の政治的な力は再び復活し、特に天保年間には再登用され、藩政に影響を及ぼすことになりました。

国学者としての活動

栄実は国学者としても評価されており、筆頭著作の『古言衣延弁』は1829年に執筆され、1891年に出版されました。この書籍は、古典文献における仮名遣いの問題に関する重要な研究であり、特にア行とヤ行の使い分けについての新たな知見を示しています。彼の業績は、契沖や本居宣長による理論的な予測を裏付けるもので、当時の国学研究において高く評価されるものとなりました。

晩年と没年

彼は天保9年（1838年）には幕府からの依頼を受けて江戸城の再建工事の奉行を務め、これにより幕府からも感謝される等の栄誉を受けました。しかし、天保14年（1843年）8月9日、52歳の生涯を閉じます。彼の死後、嫡男の栄親が家督を相続しましたが、早世し、その後は叔父質直の八男である栄通が養子として家を継ぐことになります。

影響と評価

彼の墓所は野田山墓地にあり、奥村栄実は加賀藩の歴史において重要な存在であったとされます。また、彼の研究は現代においても多くの国学者や歴史家によって評価され、影響を与えています。演じた俳優としては、映画『武士の家計簿』の宮川一朗太が知られています。

参考文献

• - 東京大学史料編纂所『加賀藩史料』
• - 新人物往来社『三百藩家臣人名事典』

奥村栄実の業績は、今なお研究者やファンの間で関心を集め続けています。

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