奥浄瑠璃

奥浄瑠璃について

奥浄瑠璃は、近世の東北地方において、盲目の法師（ボサマ）や、修験者、巫女、陰陽師といった人々によって盛んに語られていた、語り物による文芸です。特に仙台地方を中心に定着し、「御国浄瑠璃」や「仙台浄瑠璃」とも呼ばれていました。この芸能は、古[[浄瑠璃]]の面影を色濃く残しながら、今日までその伝統が受け継がれています。

歴史と特徴

奥浄瑠璃の演奏には、現在では三味線が用いられていますが、松尾芭蕉の『奥の細道』には、かつて琵琶が使われていたという記述があります。伝承されている曲目の中には、『牛若東下り』や『阿弥陀胸割』など、古[[浄瑠璃]]に近い内容のものも含まれています。

演奏は、主に冬の農閑期に、集落から集落へと巡回しながら行われていました。しかし、浪曲の人気が高まるにつれて、次第にその存在は薄れていき、現在ではほとんど演奏されることはありません。奥浄瑠璃の著名な伝承者としては、北峰一之進（芸名：精悦）がいます。

文化財としての価値

奥浄瑠璃は、1961年（昭和36年）3月31日に、「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として選定されました。これは、奥浄瑠璃が日本の貴重な文化遺産であることを示しています。この選定は、奥浄瑠璃の歴史と文化的な価値を次世代に伝えるための重要な一歩となりました。

関連情報

奥浄瑠璃の研究には、阿部幹男氏の著書『東北の田村語り』が参考になります。また、奥浄瑠璃は、目の見えない音楽家たちが携わってきた芸能文化としても知られています。

まとめ

奥浄瑠璃は、東北地方の歴史と文化が色濃く反映された、貴重な語り物文芸です。その独特な音楽や語りのスタイルは、日本の芸能史においても重要な位置を占めています。現在では、その演奏を耳にする機会は少なくなってしまいましたが、その歴史的、文化的価値は色褪せることなく、後世に伝えられるべき大切な文化遺産です。

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