奥田行高

奥田行高（おくだ ゆきたか、1678年 - 1703年）は、江戸時代前期に活躍した赤穂藩士で、赤穂浪士四十七士の一人として名高い人物です。通称は貞右衛門（さだえもん）。

行高は、赤穂藩浅野家譜代家臣・近松行生の五男として誕生しました。母は徳島藩蜂須賀家家臣の娘でした。幼少期から武家のしきたりに従って育てられ、元禄7年（1694年）、奥田重盛の養子となりました。養父のもとで家督相続を目指し、着実に武士としての道を歩んでいきます。

元禄14年（1701年）、主君・浅野長矩が吉良義央に刃傷に及んだ事件は、行高の運命を大きく変えました。事件当時、行高は江戸にいました。養父・重盛が赤穂に帰国した後も、行高は江戸に留まり、この頃に子をもうけました。その後、父とともに江戸で生活を送り、変名も用いて暮らしていたと伝えられています。

赤穂事件における行高の役割は、討ち入り隊の中でも重要な役割を担った裏門隊への参加でした。水野忠之の屋敷を襲撃した際、壮絶な戦いの末、横山笹右衛門の介錯によって切腹しました。享年26歳。主君浅野長矩と同じく、江戸高輪の泉岳寺に葬られました。戒名は刃秋跳剣信士です。

行高には、奥田清十郎という子がいました。行高は、自らの死後、清十郎のために自身の脇差を売って生活費に充てるようにと遺言を残しました。しかし、実際には泉岳寺の住職が勝手に脇差を売却したと伝えられています。清十郎は後に祖母の実家である仁尾家に養子入りし、家督を継ぎましたが、若くして亡くなりました。行高の妹も仁尾家に嫁いでいますが、子供には恵まれず、仁尾家は養子によって家系を繋いでいきました。

行高の遺品として、近松家伝来の九寸五分の脇差が現存しており、赤穂大石神社・義士史料館に所蔵されています。この脇差は、行高の生涯と忠義を象徴する貴重な遺品として大切に保管されています。

奥田行高の短い生涯は、主君への忠義を貫いた武士の生き様を示すものであり、赤穂浪士四十七士の中でも重要な一人として、現在もその名は人々に語り継がれています。彼の忠義心と、子孫たちのその後の人生は、歴史の大きな流れの中で、深く印象的な物語として残されています。彼の人生は、武士道の精神を体現した、まさに忠義の物語といえるでしょう。その生き様は、後世の人々に深い感銘を与え続け、日本の歴史における重要な一ページを飾っています。

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