奥谷喬司

奥谷喬司

奥谷 喬司（1931年9月15日 - 2025年1月10日）は、日本の動物学者であり、東京水産大学（現：東京海洋大学）の名誉教授でした。彼の専門は、軟体動物、特に貝類やイカ・タコの分類、生態、資源に関する研究でした。

生涯

奥谷喬司は、福岡県門司市（現・北九州市門司区）で生まれました。1954年に東京水産大学増殖学科を卒業後、研究の道に進みました。1966年には、「相模湾およびその周辺海域の深海性貝類の分類、分布生態ならびに古生態学的関連についての研究」で東京大学より理学博士号を取得しています。

1954年、水産庁東海区水産研究所に入所し、研究者としてのキャリアをスタートさせました。1961年から1962年にかけては、アメリカのスクリプス研究所に留学し、研究の幅を広げました。1979年には、国立科学博物館動物研究部の研究室長に就任。1984年、東京水産大学の教授となり、後進の指導にあたりました。1996年に東京水産大学を定年退官後は、名誉教授となり、日本大学生物資源科学部の教授、海洋科学技術センターの研究員を歴任しました。また、日本貝類学会の会長も務め、学会の発展にも貢献しました。

2025年1月10日、93歳で永眠されました。

業績

奥谷喬司は、長年にわたり軟体動物の研究に携わり、特にイカ類の研究において、世界的な業績を上げました。深海性貝類の分類、分布生態に関する研究は、日本の海洋生物学の発展に大きく貢献しました。また、多くの図鑑や解説書を執筆し、一般の人々にも軟体動物の魅力を伝えました。

著書（一部）

『学研の図鑑 52 貝』（学習研究社） 1981
『日本の貝 自然観察シリーズ 生態編』（小学館） 1983
『イカはしゃべるし、空も飛ぶ 面白いイカ学入門』（講談社、ブルーバックス） 1989
『原色世界イカ類図鑑』（全国いか加工業協同組合） 1995
『軟体動物二十面相』（東海大学出版会） 2003
『日本の貝 1 (巻貝) 』（学習研究社、フィールドベスト図鑑） 2006
『新編世界イカ類図鑑』（東海大学出版部） 2015
『日本のタコ学』（東海大学出版会） 2013

共編著・監修（一部）

『魚と貝の図鑑』（阿部宗明共著、講談社、講談社の学習大図鑑） 1958
『日本の貝 原色・自然の手帖』（竹村嘉夫共著、講談社、ブルーバックス） 1967
『貝類』（解説、楚山勇写真、東海大学出版会、フィールド図鑑） 1987
『日本近海産貝類図鑑』（編著、東海大学出版会） 2000
『深海の生きもの』（尼岡邦夫共監修、講談社、講談社の動く図鑑 EX MOVE） 2017

翻訳（一部）

『貝 その文化と美』（H・スティックスほか、朝倉書店） 1980
* 『世界海産貝類大図鑑』（R・T・アボット, S・P・ダンス、平凡社） 1985

奥谷喬司は、日本の軟体動物学の発展に大きく貢献しただけでなく、その知識を広く社会に伝えることにも尽力しました。その功績は、後世に永く語り継がれることでしょう。

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