奥野市次郎

奥野市次郎

奥野市次郎（おくの いちじろう、1860年10月8日 - 1919年8月28日）は、明治から大正期にかけて活躍した人物です。ジャーナリスト、政治家、教育者、そして公吏として多岐にわたる分野で活動しました。衆議院議員も務めました。

生い立ちと教育

奥野市次郎は、万延元年（1860年）に山城国京都（現在の京都府京都市下京区）で、貨物兼宿屋業を営む溝口家の長男として生まれました。旧姓は溝口、号を溝口鞍山と称しました。京都府中学校（現在の京都府立洛北高等学校・附属中学校）を卒業後、私塾で漢文学を学びました。

公職と政治活動

1878年（明治11年）には京都府の公吏となり、学務課や師範学校で教鞭を執りました。その後、下京区書記に任じられるなど地方行政にも携わりました。

1880年代に入ると、政治活動にも積極的に参加しました。国会期成同盟に加わり、自由党に入党し、自由民権運動を推進しました。三大事件建白運動にも参加し、元老院に建白書を提出しました。京都府会議員、下京区会議員、徴兵参事員なども務めました。1890年には立憲自由党（自由党）の結成に際して常議員となり、政治活動の中核を担いました。

ジャーナリストとしての活動

政治活動と並行して、ジャーナリストとしても活躍しました。自由新聞社に入社し、主幹を務めたほか、公論新報、東京新報、京都日報などの記者を歴任しました。また、自由通信社員としても活動しました。

衆議院議員としての活動

1894年（明治27年）、三重県から衆議院議員に立候補するにあたり、奥野宮三郎の養子となり、家督を長男に譲りました。三重県からの立候補は4回連続で落選しましたが、1902年（明治35年）に京都府京都市から立憲政友会所属で出馬し、初当選を果たしました。その後、連続3期衆議院議員を務めました。政友会では幹事、院内幹事、協議員などを歴任しました。

失脚と晩年

1908年（明治41年）の選挙で落選。1909年（明治42年）には、日本製糖汚職事件に関与したとして検挙され、有罪判決を受けました。これにより勲章を剥奪されました。しかし、その後も政友会で活動し、三重県からの再出馬を目指していました。1919年（大正8年）8月27日に政友会京都支部評議員会に出席するため京都へ向かった際、自動車から転落し脳出血を起こし、翌日、静養先の旅館で亡くなりました。

国政選挙歴

第3回[[衆議院議員総選挙]]（三重県第5区、1894年3月、自由党）落選
第4回[[衆議院議員総選挙]]（三重県第5区、1894年9月、自由党）次点落選
第5回[[衆議院議員総選挙]]（三重県第5区、1898年3月、自由党）次点落選
第6回[[衆議院議員総選挙]]（三重県第5区、1898年8月、憲政党）次点落選
第7回[[衆議院議員総選挙]]（京都府京都市、1902年8月、立憲政友会）当選
第8回[[衆議院議員総選挙]]（京都府京都市、1903年3月、立憲政友会）当選
第9回[[衆議院議員総選挙]]（京都府京都市、1904年3月、立憲政友会）当選
第10回[[衆議院議員総選挙]]（京都府京都市、1908年5月、立憲政友会）次点落選

奥野市次郎は、激動の時代を生きた人物であり、その生涯は多岐にわたる活動と、政治的な波乱に満ちていました。

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