女はそれを我慢できない (1956年の映画)

『女はそれを我慢できない』（1956年）は、ジェーン・マンスフィールドの魅力を最大限に引き出した、ロックンロール時代の風刺的なコメディ映画です。フランク・タシュリンが監督を務め、音楽と笑いを織り交ぜた、色彩豊かな映像で観客を魅了しました。

映画の特徴

この映画は、当時のロックンロール映画としては珍しく、ワイドスクリーン（シネマスコープ）とフルカラーで撮影されました。これにより、画面の隅々まで鮮やかな色彩が広がり、視覚的なインパクトを強めています。劇中では、スタンダードサイズ・白黒画面からワイド・カラー画面へ変化する演出が用いられ、映画の華やかさを際立たせています。

ビートルズのメンバーがリバプールで鑑賞し、多大な影響を受けたと公言していることでも知られています。『ザ・ビートルズ・アンソロジー』にも引用されており、彼らの音楽性にも影響を与えた作品として評価されています。

あらすじ

物語は、酒好きの宣伝屋トム・ミラーが、ギャングのボス、マードックからある依頼を受けることから始まります。その依頼とは、マードックの愛人で美貌の持ち主であるジェリイをスターにすること。ただし、彼女に手出しは厳禁という条件付きでした。しかし、トムとジェリイは次第に惹かれ合っていきます。

歌手になることを望んでいないジェリイでしたが、マードックへの恩義から嫌々ながら歌を歌います。マードックは、彼女をスターにするために、インチキな手段を使って彼女の歌を広め、奇妙な人気を博していきます。ニューヨークでの初舞台を前に、トムとジェリイの関係を認めたマードックでしたが、そこに別のギャング、ホイラーが現れ、一触即発の状態に。しかし、トムの機転により、マードックが自ら舞台で歌い、観客を熱狂させ、ホイラーとの対立も解消されます。

10年後、トムとジェリイは結婚し、5人の子供に恵まれ、マードックは良き祖父として幸せに暮らしています。

日本での評価

米文学者の舌津智之は、映画の邦題である『女はそれを我慢できない』について、原題のニュアンスを考慮すると直訳的誤訳であると指摘しています。しかし、ジェーン・マンスフィールドの性的魅力を強調し、欲望を抑圧しない女性のイメージを喚起することで、映画の魅力を引き出すことに成功していると評価しています。

映画の影響

『女はそれを我慢できない』は、その革新的な映像技術と音楽、そしてジェーン・マンスフィールドの魅力的な演技によって、多くの観客を魅了し、後の映画作品にも大きな影響を与えました。ロックンロール映画の代表作として、今もなお愛され続けています。

スタッフ
監督: フランク・タシュリン
脚本: フランク・タシュリン、ハーバート・ベイカー
原作: ガーソン・カニン
音楽: ライオネル・ニューマン

キャスト
ジェーン・マンスフィールド
トム・イーウェル
エドモンド・オブライエン
ジュリー・ロンドン

もう一度検索