フランク・タシュリン

フランク・タシュリン：アニメと実写を架けるコメディの巨匠

フランク・タシュリン（1913年2月19日 - 1972年5月5日）は、アメリカ合衆国が生んだ多才な映画人です。彼は映画監督、脚本家、アニメーター、そして映画プロデューサーとして、幅広い分野でその才能を発揮しました。特に、コメディ映画の分野での貢献は大きく、後世の映画作家たちにも多大な影響を与えています。

生い立ちとキャリアの初期

1913年、ニュージャージー州ウィーホーケンで生まれたタシュリンは、13歳で高校を中退後、様々な職を経験します。1930年、17歳でカートゥニストとしてのキャリアをスタートさせました。ヴァン・ビューレンとポール・テリーの『イソップス・フェーブル』に参加したのが最初でした。その後、ワーナー・ブラザースのレオン・シュレジンジャーのカートゥーン・スタジオでアニメーターとして腕を磨き、アブ・アイワークスの動画工房でも経験を積みました。1935年には、ハル・ローチの撮影所に脚本家として移籍、翌年にはワーナーに戻り、アニメーション監督として活躍しました。

実写映画への転向と成功

第二次世界大戦後、1946年にパラマウント映画に移籍し、マルクス兄弟やルシル・ボールなどのコメディ作品でギャグライターとして才能を発揮しました。ボブ・ホープやレッド・スケルトン出演作品の脚本も担当し、コメディ界での地位を確立します。1948年には、ノーマン・Z・マクロード監督の『腰抜け二挺拳銃』で全米脚本家組合賞の最優秀喜劇脚本賞と最優秀西部劇脚本賞をダブル受賞するという快挙を成し遂げました。

1951年、タシュリンは実写映画監督としてデビューを果たします。1958年には、自らオリジナル脚本を執筆した監督作『ロック・ハンターはそれを我慢できるか?』が、全米脚本家組合賞の最優秀喜劇脚本賞を受賞。この作品は、ジャン＝リュック・ゴダールが『カイエ・デュ・シネマ』誌上で発表した「1957年のベストテン」で3位にランクインするなど、フランスの映画批評家からも高く評価されました。ちなみに、同リストの4位には、タシュリン監督の『底抜けコンビのるかそるか』（1956年）が選ばれています。

フィルモグラフィー

タシュリンは、数多くの映画作品を手がけました。以下に代表的な作品をいくつか紹介します。

『イソップス・フェーブル』(1930年、カートゥニスト)
『ポーキー・ピッグ』(1937年-1941年、監督)
『ダフィ・ダック』(1939年-1943年、監督)
『ハリウッド・アルバム』(1947年、脚本)
『腰抜け二挺拳銃』(1948年、脚本)
『腰抜け二挺拳銃の息子』(1952年、監督・脚本)
『奥様は芳紀十七才』(1954年、監督)
『画家とモデル』(1955年、監督・脚本)
『底抜けコンビのるかそるか』(1956年、監督)
『女はそれを我慢できない』(1956年、監督・脚本)
『ロック・ハンターはそれを我慢できるか?』(1957年、監督・原案・脚本)
『底抜けシンデレラ野郎』(1960年、監督・原作・脚本)
『底抜けオットあぶない』(1963年、監督・脚本)
『底抜け00(ゼロゼロ)の男』(1964年、監督・脚本)
* 『マーメイド作戦』(1966年、監督)

その死と遺産

1972年5月5日、フランク・タシュリンはカリフォルニア州ハリウッドで亡くなりました。満59歳でした。彼の作品は、今日でも多くの人々に愛され、そのユーモアセンスと革新的な演出は、映画史に名を刻んでいます。

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