女真珠王の復讐

『女真珠王の復讐』は、1956年に新東宝が製作・配給した日本の映画作品です。プロレタリア映画運動出身の松崎啓次が、ペンネーム「青木義久」名義で執筆した小説を原作としています。この作品は、邦画史上初めて女優のオールヌードシーン（後ろ姿）が描かれたことで、当時大きな話題を呼びました。

原作小説は、雑誌『小説と読物』（桃園書房）に掲載され、後に映画の原作小説集『復讐は誰がやる』（文芸評論社、1957年）にも収録されています。

あらすじ
貿易会社の社長が、保養先の箱根で殺害されるという事件が発生します。さらに、会社の金庫からも多額の現金が紛失していることが判明。事件当日、被害者の社長と会っていたのは、社員の木崎芳男ただ一人でした。警察は木崎を容疑者として拘束し、彼の恋人である同僚の香川夏岐にも疑いの目を向けます。

しかし、夏岐は事件後、浅村専務と共にアメリカ行きの船に乗っていました。夏岐は、社長の殺害と現金紛失に浅村が関与しているのではないかと疑念を抱きます。そんなある夜、浅村に甲板へ呼び出された夏岐は、襲われそうになり抵抗しますが、誤って海に転落してしまいます。そして、絶望的な状況の中、彼女は絶海の孤島の浜辺に打ち上げられるのです。そこから、彼女の運命は大きく変わっていくことになります。

主要キャスト
香川夏岐：前田通子
香川まさ：藤村昌子
木崎芳男：宇津井健
香川雪子：三ツ矢歌子
浅村健二：藤田進
野口吾郎：丹波哲郎
* 山内雄三：天知茂

作品の魅力
『女真珠王の復讐』は、単なるサスペンス映画としてだけでなく、愛憎、裏切り、そして復讐といった普遍的なテーマを描いた作品です。主人公の夏岐が、絶望的な状況からどのように立ち上がり、復讐を遂げていくのか。その過程で描かれる人間ドラマは、観る者の心を強く揺さぶります。

また、オールヌードシーンは、当時の映画界においては非常に斬新な試みであり、作品に強い印象を与えました。新東宝ならではの、大胆な演出と、実力派俳優たちの熱演が光る作品です。

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