女神の継承

女神の継承 (2021)

『女神の継承』（原題: ร่างทรง Rang Song、英題: The Medium）は、タイと韓国が共同で製作したモキュメンタリー形式のホラー映画です。バンジョン・ピサンタナクーンが監督を務め、ナ・ホンジンが共同で脚本と制作を手がけました。タイのGDH 559と韓国のショーボックスが共同で制作しています。

あらすじ

物語は、タイのイサーン地方を舞台に、ドキュメンタリーチームが霊媒であるニムの日常を記録するところから始まります。ニムは、村人が崇拝する神「バ・ヤン」の精霊を受け継ぐ一族の女性です。元々、ニムの姉であるノイが継承者でしたが、彼女はキリスト教に改宗し、その役割を拒否しました。そのため、バ・ヤンの魂はニムに宿ることになったのです。

ある日、ノイの娘であるミンに異変が起こり始めます。多重人格のような奇妙な行動や攻撃的な言動が目立つようになり、家族やドキュメンタリークルーは困惑します。ニムは当初、バ・ヤンがミンを後継者にしようとしていると考えますが、ノイは娘に霊媒の儀式を受けさせることを拒否します。

しかし、ニムは次第にバ・ヤンとは別の存在が関わっているのではないかと疑い始めます。ミンの兄であるマックとの近親相姦関係、そしてマックの死の真相が明らかになるにつれ、事態はより複雑になっていきます。悪霊に取り憑かれたミンの状態は悪化の一途をたどり、一家は除霊の儀式を決行しますが、それは更なる悲劇の幕開けとなるのでした。

作品のポイント

モキュメンタリー形式: ドキュメンタリーのような臨場感あふれる映像で、観客を物語に引き込みます。
タイのシャーマニズム: タイのイサーン地方に根付くシャーマニズムの世界観を深く掘り下げ、独特の恐怖を描き出しています。
予測不能な展開: 憑依、近親相姦、悪霊など、様々な要素が絡み合い、最後まで目が離せない展開が続きます。
人間の業: 先祖の罪が子孫に受け継がれていくという、人間の業の深さを描いています。

キャスト

ミン: ナリルヤ・グルモンコルペチ (飯田里穂)
ニム: サワニー・ウトーンマ (松本梨香)
ノイ: シラニ・ヤンキッティカン (高島雅羅)
マニット: ヤサカ・チャイソーン (西垣俊作)
* サンティ: ブーンソン・ナクプー (杉田智和)

評価

『女神の継承』は、その斬新な設定と衝撃的な内容で、世界中の映画ファンを魅了しました。富川国際ファンタスティック映画祭では最優秀映画賞を受賞し、第94回アカデミー賞ではタイ代表作品として出品されました。

批評家からは、タイの民間伝承と韓国スリラーの要素を融合させた点、ナリルヤ・グルモンコルペチの演技などが高く評価されています。一方で、モキュメンタリー形式の導入や上映時間の長さについては賛否両論あります。

まとめ

『女神の継承』は、信仰、憑依、そして人間の業を描いた、衝撃的なホラー映画です。モキュメンタリー形式ならではの臨場感と、タイのシャーマニズムの世界観が、観客を深い恐怖へと誘います。ホラー映画ファンはもちろん、スリリングな展開を楽しみたい方にもおすすめです。

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