女衒 ZEGEN

映画『女衒 ZEGEN』の概要

『女衒 ZEGEN』（ぜげん）は、1987年に公開された日本映画で、今村昌平監督がメガホンを取った作品です。この映画は明治時代後期から昭和初期にかけて、東南アジアで女郎屋を経営し、女衒として活動した実在の人物、村岡伊平治の生涯を描いています。東映と今村プロダクションの製作によるこの作品は、その年のカンヌ国際映画祭にも出品されました。

あらすじ

物語は、伊平治という男を中心に展開します。彼は、長太と源吉と共に香港の近くで4年間の船上生活から脱出する際、海に飛び込むことから始まります。貿易商になろうと決意するものの、香港での生活が始まる前に、上原大尉から満州での対ロシアのスパイ活動を命じられます。この国の大義に生きることを学んだ伊平治ですが、次第にロシア側に情報が漏れ、再び香港へと戻ってきます。

香港で旧友の朝長と再会した伊平治は、彼がシンガポールで身請けしてきた女性、しほと出会います。彼女は、伊平治の幼馴染であり、過去の思い出が蘇ります。伊平治はしほを身請けし、同時に娼婦として束縛されていた日本人女性たちを救い出しますが、女性たちを養うための資金が不足し、「おなごば貿易」を行うことに。これは、つまり大和撫子の売買を仲介することを意味します。こうして彼は女衒としての道を歩み始めるのです。シンガポールでは、日本人娼館の国営化を提案するところまで進展しました。

キャスト

映画には多彩なキャストが出演しています。村岡伊平治役を緒形拳、しほ役を倍賞美津子が演じ、他にも柯俊雄、三木のり平、小西博之などが名を連ねています。これらの役者陣の演技も作品の魅力の一部です。

制作の背景

今村昌平監督は1981年からの『ええじゃないか』以降、岡田茂社長に、自身が手がけたい企画を３つ挙げました。その中には『村岡伊平治』の話も含まれていました。1983年に『楢山節考』の成功を受けて、制作費が十分に与えられ、本作の製作が進められることになりました。この作品は今村監督が20年間温めていた企画の一つでもありました。

1986年には本作の撮影が香港やマレーシアで行われましたが、録音技師は環境のノイズに苦しむこととなりました。作品の製作発表では、岡田社長が今村監督の情熱に期待を寄せるコメントを残しています。しかし、上映後の反応は芳しくなく、配収はわずか3億円と厳しいものでした。

評価と影響

本作は、カンヌ国際映画祭に出品されましたが、商業的な成功には結びつきませんでした。観客は高齢化しており、タイトルが若い世代には理解されなかったため、上映は早々に終了されてしまいます。今村監督による深いテーマの探求が評価されるも、一般的な映画市場では受け入れられない結果となりました。

今村昌平の名作としては知られていますが、その後の評価は評価分かれるところです。

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