三木のり平

三木のり平の人生と業績

三木のり平（みき のりへい、1924年4月11日 - 1999年1月25日）は、日本の喜劇界において卓越した才能を発揮した俳優、演出家、コメディアンであり、日本喜劇人協会の第5代会長を務めました。彼の本名は田沼則子（たぬま ただし）であり、現在は長男の小林のり一もコメディアンとして活躍しています。

生い立ちと教育

彼は東京市日本橋区浜町に生まれました。1942年に旧制日本大学第一中学校を卒業し、その後日本大学法文学部芸術学科に入学しました。当初は画家を志しましたが、舞台美術に興味を抱き、演劇学科に転籍し1947年に卒業しました。

舞台デビューと喜劇の道

三木は最初に新劇の世界に入り、新劇の舞台で端役を演じていましたが、その後の偶然の出来事をきっかけにコメディアンへと転身しました。彼は当初本名で活動していましたが、三木鶏郎から「三木則子」という芸名を提案されました。しかし印刷での誤りから「三木則平」と表記されたため、最終的には「三木のり平」と名乗ることになりました。

1950年には映画デビューを果たし、その後は清水金一や森繁久彌との作品で広く知られるようになりました。特に彼が出演した「社長シリーズ」や「駅前シリーズ」などでは、サラリーマンの喜怒哀楽を巧みに表現し、多くのファンの心をつかみました。特に「接待が生き甲斐」という役柄が定番となり、彼の演技は多くの人々に共感を呼びました。

演出家としての活動

三木は喜劇俳優としての活動に加え、演出家としても評価を受けました。特に1981年から担当した森光子主演の舞台『放浪記』が知られており、彼の演出が高く評価されました。また、菊田一夫演劇賞や読売演劇大賞を受賞するなど、その手腕が認められました。彼は演出家としても長いキャリアを持ち、数多くの舞台作品に携わりました。

桃屋のCMキャラクター

名コメディアンとしてだけでなく、桃屋のアニメーションCMにおいても知名度が高く、「ごはんですよ！」のキャラクターとして1958年から1998年まで長らく親しまれました。このCMは、家庭のテーブルに笑いと温かさを届け、多くの人々に愛されたコンテンツとなりました。

晩年と私生活

三木の人生は舞台での華々しい活躍と裏腹に、私生活では孤独な面もありました。1993年、妻を亡くした後は一人暮らしとなり、酒に溺れる生活が続きました。そのため、1999年には末期の肝腫瘍と診断され、余命3カ月が宣告されました。彼は自らの意志で医療行為を拒否し、同年1月25日に74歳で生涯を終えました。彼の遺作となったのは、1998年に出演した新劇の舞台『山猫理髪店』でした。

人物像と影響

三木は、自身の子供時代に花柳界の影響を受け、都々逸や小唄を親しむ中で芸事に目覚めました。江戸っ子の気質を持ち、照れ屋でありながら喧嘩っ早い性格でもありました。家庭での子育てには無関心でしたが、世間体を気にして時折演出を仕掛けた家庭的な父親を演じることもあったようです。彼はまた、自らの演技についてドライな考えを持ち、映画や自らの作品に批判的でしたが、観客を楽しませることには非常にこだわりを持っていました。

まとめ

三木のり平は、喜劇界に多大な影響を与えた存在であり、その業績は今も多くの人々に愛されています。彼のユーモア溢れる演技や独自の芸風は、後世のコメディアンに多くの刺激を与えました。彼の名前は、日本の喜劇の歴史の中で、永遠に記憶され続けることでしょう。

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