奴隷未亡人

映画『奴隷未亡人』解説

『奴隷未亡人』（どれいみぼうじん）は、1967年（昭和42年）に公開された日本の劇場用映画です。中央映画が製作し、六邦映画が配給を担当しました。監督は渡辺護が務めています。

概要

この映画は、夫の自殺によって多額の負債を抱え、その返済のために性奴隷として生きることを余儀なくされた未亡人の過酷な運命を描いています。主演は当時19歳だった辰巳典子が務め、彼女の悲痛な演技が観る者の心を揺さぶります。共演には、岩井まり（祝真理）と谷那保美（谷ナオミ）がおり、彼女たちも当時18歳という若さで、難しい役どころを演じきりました。また、青年役の野上正義は、当時27歳でした。

渡辺護監督は、文芸メロドラマ的な作風を意識していたとされ、本作は溝口健二監督の『雪夫人絵図』の翻案であるという指摘もあります。撮影は武田静也、照明は守田芳彦が担当しており、当時の映画界を支えたベテランスタッフが参加しています。

しかし、現在、日本国内では上映用プリントが確認されておらず、ビデオグラム化もされていません。2008年には、アメリカのシネマエポックが『The Slave Widow』というタイトルでDVDを発売しています。

キャスト

辰巳典子 - 社長夫人・藤美津子
谷那保美 - 一彦の婚約者・三星真理子
岩井まり - 家政婦マヤ
山中道子
大泉正 - 鬼頭社長
高村鈴子
野上正義 - 鬼頭の息子・一彦

スタッフ

企画・製作 : 中田央
撮影 : 武田静也
照明 : 守田芳彦
音楽 : 芥川豊
効果 : 河野修
編集 : 中島輝雄
助監督 : 青山繁
記録 : 芦原純子
製作主任 : 山田信
録音 : 日本録音センター
現像 : 日本現像所、東栄科学
衣裳 : 東京衣裳
監督・脚本 : 渡辺護

作品データ

製作会社 : 中央映画
上映時間 : 73分（8巻 / 2,000m）
フォーマット : パートカラー（白黒映画、一部カラー映画） - スコープ・サイズ（2.35 : 1） - モノラル録音
映倫番号 : 14997
公開当時の指定 : 成人映画
劇場公開日 : 日本 1967年7月11日 、 アメリカ合衆国 2007年
配給 : 六邦映画 、 シネマエポック

作品の背景

この映画は、1960年代後半の日本社会における、女性の置かれた厳しい立場を描いています。性奴隷という衝撃的なテーマを通して、社会の暗部を浮き彫りにする作品として、当時の観客に強い印象を与えました。

参考文献

World Filmography 1967 (1977). Peter Cowie, Tantivy Press, London. ISBN 0498015653
Behind the Pink Curtain: The Complete History of Japanese Sex Cinema. (2008) Jasper Sharp, Guildford: FAB Press. ISBN 9781903254547

関連作品

雪夫人絵図

外部リンク

Slave Widow - オールムービー（英語）
Slave Widow - IMDb（英語）
奴隷未亡人 - 文化庁日本映画情報システム
奴隷未亡人 - KINENOTE
* 奴隷未亡人 - 日本映画データベース

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