如意の渡し

如意の渡しについて

如意の渡し（にょいのわたし）は、富山県の小矢部川河口を横断するために1999年まで運行されていた渡船です。この渡船は歴史の中でさまざまな名称で呼ばれており、特に『義経記』に登場する源義経の伝説に由来する名称と言われています。

歴史と運航

この地域では、近代以前から渡船が運行されており、小矢部川河口を結ぶ重要な交通手段でした。しかし、橋が架けられなかったため、渡船の役割は長い間続きました。1951年からは伏木港湾交通が運航を行い、2009年の伏木万葉大橋の開通までその役割を果たしました。

渡船は午前7時から午後7時まで、15分間隔で運行され、所要時間は約3分でした。また、乗客だけでなく自転車の積載も可能であり、片道の運賃は小学生以下が100円、中学生以上は200円でした。

義経伝説と文化

如意の渡しは義経伝説に結びついており、『義経記』によると、義経がこの渡しを利用したことが記されています。特に、能の『安宅』や歌舞伎の『勧進帳』などでの描写は、義経の物語を色濃く示しています。これにより、地域の観光資源としての価値が高まり、多くの観光客を惹きつける要因となっていました。

近代化の取り組み

明治時代に入ると、渡船は地域住民によって運行が続けられました。1882年には橋架設の要望が出され、1883年には寺畑橋が完成しました。しかし、これにより渡船の利用者は減少し、1886年には平均月間利用者数が約4,050人にまで減少しました。

近代化を図るため、1911年には六渡寺渡船組合が設立され、発動機船の導入や待合所の建設が行われました。その後も利用者の利便性を高めるための努力が続けられましたが、架橋による影響は計り知れませんでした。

経営の変遷と廃止

1960年代には経営悪化が進み、高岡市は渡船を県営に移管することを求めましたが、これが実現することはありませんでした。1975年には伏木渡船事業組合が解散し、その事業は伏木港湾交通へ譲渡されました。

1990年には待合所の改築が行われ、観光需要の促進が図られましたが、その後の利用者数は減少の一途をたどることになります。過去の最高利用者数の20分の1にも達しない旅客数となり、2009年には伏木万葉大橋の開通を受けて、如意の渡しは廃止されました。

運航最終日には無料運航が行われ、多くの地元住民がその閉じられた歴史を惜しんだと言われています。中にあった義経と弁慶の像は、後に伏木駅前へ移設され、当時の歴史を物語る存在として残っています。

このように、如意の渡しは単なる交通手段ではなく、地域に深く根ざした歴史的な文化遺産であり、観光的な側面でも重要な役割を果たしていました。

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