小矢部川

小矢部川

小矢部川（おやべがわ）は、富山県を主に流れ、富山湾に注ぐ一級河川です。その源流は、富山県と石川県の県境に位置する大門山（標高1,572m）にあります。

地理

小矢部川は、大門山から北へ流れ、南砺市、小矢部市、高岡市を経て、高岡市と射水市の境界から富山湾へと注ぎます。流域の大部分は富山県内にありますが、上流の一部は石川県にも及んでいます。

富山県には、黒部川、片貝川、早月川、常願寺川、神通川、庄川、そして小矢部川という七つの主要な河川があり、小矢部川はその一つです。川の名前は、上流に位置した小矢部村に由来し、小矢部市の市名もこの川から取られています。

歴史

小矢部川の歴史は、古代において庄川と深い関係がありました。当時、庄川は砺波平野の中心部を流れ、現在の小矢部市付近で小矢部川と合流し、そこから下流は射水川と呼ばれていました。この射水川は、ほぼ現在の小矢部川の流路を流れていたとされ、『万葉集』には大伴家持の歌にも登場します。

その後、庄川は別の流路を流れ、江戸時代には現在の高岡市街で合流するようになりました。さらに江戸時代には、庄川は中田川へと付け替えられ、河口付近で合流するようになりました。明治時代に入ると、県予算の約半分を費やした七大河川の改修工事が行われ、その結果、小矢部川は庄川から完全に分離し、独立した水系となりました。

1952年7月、1953年8月、そして翌9月には、小矢部川流域で大規模な水害が発生しました。この水害を契機に、上流部には農林省によって刀利ダムなどの治水施設が整備されることとなりました。

流域の自治体

小矢部川の流域には、以下の自治体が含まれます。

富山県: 南砺市、小矢部市、高岡市、射水市、砺波市
石川県: 金沢市（ごく一部）

支流

小矢部川には、以下のような支流があります。

山田川（南砺市）
旅川（南砺市）
二ツ屋川（南砺市）：人喰谷がある
渋江川（南砺市・小矢部市）
子撫川（高岡市・小矢部市）：宮島峡がある
岸渡川（砺波市・小矢部市・高岡市）
祖父川（砺波市・高岡市）
千保川（砺波市・高岡市）
地久子川（高岡市）

並行する交通

小矢部川沿いには、以下の交通網が整備されています。

鉄道:

JR西日本城端線（南砺市域で並行）
あいの風とやま鉄道線（石動駅～高岡駅間で並行）
JR西日本氷見線（高岡市域北部で並行。能町駅～伏木駅間で渡河）
万葉線（高岡市域北部で並行）

道路:

富山県道24号伏木港線（高岡市高美町～米島間で渡河）
富山県道32号小矢部伏木港線（高岡市高美町～小矢部市域で並行）
国道160号（高岡市長慶寺～守山間で渡河）
富山県道・石川県道29号高岡羽咋線（高岡市北島～佐加野間で渡河）
国道8号（小矢部市芹川～西中野間で渡河）
富山県道42号小矢部福光線（小矢部市東福町～西福町間で渡河）
国道471号（小矢部市域で並行）
国道359号（小矢部市津沢地区で渡河）
富山県道48号福光福岡線
国道304号（南砺市福光地域で渡河）
石川県道・富山県道27号金沢井波線（南砺市福光地域で渡河）
石川県道・富山県道10号金沢湯涌福光線
富山県道54号福光上平線

主な橋梁

小矢部川には、多数の橋梁が架けられています。

流域の観光地

小矢部川の流域には、以下のような観光地があります。

イオックス・アローザ（南砺市）
鯉雨画斎（南砺市）
安居寺（南砺市）
クロスランドおやべ（小矢部市）
稲葉山牧場（小矢部市）
ミュゼふくおかカメラ館（高岡市福岡町）
二上山（高岡市）
勝興寺（高岡市）

環境

1968年3月6日、厚生省は富山県小矢部川下流の川魚からメチル水銀と思われる物質を検出しました。これを受け、富山県を通じて流域住民に対し、魚類の捕獲を自粛するよう要請しました。

脚注

外部リンク

小矢部川 - 国土交通省水管理・国土保全局
小矢部川流域圏の水文化の概要 - 富山県県民生活課

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