妻と女の間

『妻と女の間』

『妻と女の間』は、著者瀬戸内晴美（現在の瀬戸内寂聴）による小説で、1969年に毎日新聞社から初版が刊行され、その後1974年に新潮文庫として再出版されました。小説は、女性たちの人生を通じて、女の性（さが）を深く考察した作品です。

内容の概要

物語の舞台は東京で、和服デザイナーとして働きながら呉服屋を営む安澄が主人公です。安澄は四人姉妹の長女で、彼女の家族それぞれの人生に焦点を当てています。次女の優子は実家の呉服卸を経営し、三女の乃利子は平凡なサラリーマンの妻、そして四女の耀子は未亡人という状況です。この四人の女性たちと、母親や優子の夫の愛人など、周囲の女性たちの生き様を描くことで、女性の心情や生きざまが浮き彫りにされています。

映画化の経緯

この作品は1976年1月17日に映画として公開されました。芸苑社が制作し、東宝が配給を担当したこの映画は、豊田四郎と市川崑の共同監督によって制作されました。残念ながら豊田は1977年に急逝し、この作品が遺作となりました。

映画は当初、芸苑社の正月映画として企画されましたが、豊田の健康問題やスケジュールの都合により、制作が難航しました。そこで、プロデューサーの判断で市川が協力する形で完成しました。主に安澄のシーンは豊田が演出し、その他の姉妹やロケシーンは市川が担当しました。このように、二人の監督のスタイルが融合し、作品に独自の雰囲気をもたらしました。市川は後に豊田がこの作品にどれほど情熱を抱いていたか疑問を呈しながら、製作過程を振り返っています。

キャスト

映画は以下のキャストにより構成されています。

• - 安澄: 三田佳子
• - 優子: 大空眞弓
• - 乃利子: 酒井和歌子
• - 耀子: 仁科明子

この他にも、多くの名優たちが脇を固め、物語の深みを増しています。

テレビドラマ

また、原作は1969年と1975年にそれぞれテレビドラマとしても放映されました。1969年版は毎日放送で放映され、全13回にわたりました。1975年版はTBS系列で放送され、時間帯が変更されるなどの工夫もみられました。両バージョンとも、原作の魅力を生かした作品となっています。

主題歌

映画の主題歌『薄氷』は、なかにし礼が作詞、佐藤勝が作曲を手がけました。歌はくもと空が担当し、視聴者に深く印象を残すものとなりました。

『妻と女の間』は、作品を通じて女性の生き方や愛の難しさを描き、日本の文化や価値観を映し出す・深いテーマを持った作品として、多くの人々に愛され続けています。

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