姉ゲー

姉ゲーとは

姉ゲー（あねげー）は、主にギャルゲーやアダルトゲームにおいて、「姉」が恋愛対象となる主要な登場人物として扱われる作品群の総称です。このジャンルは、単なる恋愛ゲームとしてだけでなく、家族、禁忌、そして人間の心の葛藤を描く深いテーマ性を持っています。

歴史

姉属性を持つヒロインが登場する作品は、1996年の『カミングハート』など以前から存在していました。しかし、「妹」や「メイド」のように、特定の属性としてブームを巻き起こすまでには至りませんでした。

2001年、Marronの『秋桜の空に』に登場する桜橋涼香は、主人公への強烈な愛情表現で注目を集めました。同年には、ディーオーの『Crescendo 〜永遠だと思っていたあの頃〜』が、義理の姉弟の禁断の愛を描き、話題となりました。

2003年になると、Marronの『お姉ちゃんの3乗』やきゃんでぃそふとの『姉、ちゃんとしようよっ!』など、姉が中心となる作品が相次いで発売され、「姉属性」ブームが到来しました。本田透は、この流れを「妹萌え」が飽和した結果だと分析しています。

概説

本来、姉は弟の恋愛対象とはなりにくい存在ですが、姉ゲーではそれがヒロインとなり得ます。ただし、倫理的な問題から、義理の姉弟という設定や、単に親しい年上の女性を姉と呼ぶ場合が多く見られます。

初期のギャルゲーでは、プレイヤーの願望を反映した設定が多かったものの、リアリティに欠けるため廃れていきました。その後、ヒロインを宇宙人やロボットのようなファンタジックな存在とし、主人公を愛する理由付けをする作品が普及しました。しかし、より身近な無条件の愛を求める中で、家族がヒロインの題材として注目されるようになったのです。

姉は弟よりも年長であり、庇護を与えてくれる頼もしい存在です。同時に、母親よりも親密な関係を築きやすく、上下関係がありながらも近しい存在として描かれます。弟の成長によって関係が変化し、ドラマが生まれることもあります。

インセスト・タブーについては、深く考えない作品もあれば、禁忌への葛藤を正面から描く作品もあります。義理の姉弟であっても、近親者間の恋愛は人間関係の閉塞化を招く可能性があります。社会から隔絶される恐怖は、姉にとってより強く、物語に深みを与えます。

姉ゲーは、単なる恋愛ゲームとしてだけでなく、家族、禁忌、人間の心の葛藤を描く深いテーマ性を持った作品として、多くのファンを魅了し続けています。

参考文献

『「妹ゲーム」大全』インフォレスト〈INFOREST MOOK Animated Angels MANIAX〉、2004年7月。ISBN 4-902566-36-2
『「姉ゲーム」大全』インフォレスト〈INFOREST MOOK Animated Angels MANIAX〉、2005年1月。ISBN 4-902566-85-0
本田透『萌える男』筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年11月。ISBN 4-480-06271-8

関連項目

妹ゲー
ショタゲー
大衆文化における近親相姦

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