委託訓練

委託訓練とは

委託訓練とは、都道府県や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が、公共職業能力開発施設以外の施設に委託して実施する職業訓練のことです。これらの施設には、学校教育法に基づく大学や専修学校などの教育機関、そして認定職業訓練を行う職業訓練施設が含まれます。

概要

委託訓練は、公共職業能力開発施設が行う職業訓練とみなされ、公共職業訓練の一環として実施されます。職業能力開発促進法に定められた職業に関する訓練であれば実施可能ですが、訓練の承認は自治事務であるため、すべての訓練が承認されるとは限りません。承認の要領としては、規則別表に基づいているか、必要な帳票類や修了証書の発行など、事務的な要素が重視されます。カリキュラムの内容そのものが直接的な判断基準となるわけではないことに注意が必要です。

認定職業訓練との大きな違いは、委託訓練が自社または当該団体を構成する企業の従業員を対象としない点にあります。

問題点

委託訓練の費用は、訓練生の場合、原則として無料です。ただし、教科書代、作業着代、その他の材料費などは、自治事務の判断により有償となる場合があります。訓練に必要な費用は、国の雇用保険勘定による特別会計と都道府県の税収から支出されています。

また、職業能力開発促進法における職業訓練に関する規則や通達、事務連絡などが多岐にわたっており、自治体の担当者や委託訓練実施事業者でさえ、本質的な部分を十分に理解していないケースが見受けられます。その結果、ユニット訓練において、1単位を12時間として認定しているにもかかわらず、実際には1単位が12時間よりも短いカリキュラムが設定されたり、修了証書に重大な不備が見られるなど、さまざまな問題が発生しています。

委託訓練の質の維持・向上を図るためには、関係者全員が制度の趣旨や内容を正確に理解し、適切な運用を行うことが不可欠です。カリキュラムの内容を充実させることはもちろんのこと、事務手続きの適正化、修了証書の適切な発行など、細部にわたる注意が必要です。

まとめ

委託訓練は、求職者や転職希望者にとって、新たなスキルを習得し、就職に役立てるための貴重な機会です。しかし、制度の複雑さや関係者の理解不足から、様々な問題が生じている現状があります。制度の改善と関係者の意識改革を通じて、委託訓練がより効果的な職業訓練となることが期待されます。

もう一度検索