委託販売

委託販売（いたくはんばい）

委託販売とは、企業または個人が商品や製品を売るために、他の第三者にその販売を委ねる取引形態です。この仕組みは遠隔地の消費者と接点を持つ場合に特に効果的で、販売する側を委託者、販売を受ける側を受託者と呼びます。委託者は自らの商品の所有権を保持したまま販売を託し、受託者はその商品を売って得た収益から手数料を受け取ります。

委託販売の流れ

委託販売の基本的な流れは以下のようになります。まず、委託者は販売を依頼する商品を受託者に発送します。この商品は企業会計の用語で「積送品」として扱われます。受託者はこれを受け取って販売を行います。

商品の販売後、受託者は「仕切計算書」と呼ばれる書類を作成します。この書類には売上総額、発生した経費（販売費や保管料など）、受託者の手数料、そして委託者の手元に残る純益が記載されます。受託者はこの手取額を委託者に渡し、手数料や経費については受託者が取得する形になります。これにより、委託者は仕切書を受け取り、売上状況を把握することが可能となります。

出版業における委託販売

出版業において用いられる「委託販売」は、一般的な委託販売とは異なり、返品条件付きの売買形態と見なされます。この場合、出版社や取次が書店に対して商品を売却し、返品の約束を交わします。商品が書店に渡ると、実際には所有権が移転します。書店は商品を販売し、売れ残った物は適切な条件のもと取次に返品される仕組みです。

このような形態では、出版社や取次は会計上の優遇を受けることができるため、効率的な管理が可能です。また、著名な出版社である岩波書店や小学館、講談社などがこの方式を導入しており、異なる取引条件に基づいて様々な運用がなされています。

旅行業における委託販売

旅行業界では、主催旅行を代理で販売することが委託販売として行われ、その際は「代売」と呼ばれています。旅行代理店は、旅行代金から手数料収入を差し引いて、主催の旅行業者にその代金を支払います。トラブルが発生した場合の責任は主催会社が負うため、リスク管理の観点でも特徴的な業態です。

消化仕入れとの類似性

委託販売に類似する形態として消化仕入れ、または売上仕入れが挙げられます。この販売方式では、商品が実際に売れた時点で初めて仕入れとなりますが、売掛金の貸倒れリスクは店舗が負う点で委託販売との違いがあります。返品制での管理においては、商品を仕入れた時点で在庫としてカウントされ、販売できなかった場合は返品が可能です。

結論

委託販売は、企業や個人の幅広い販売活動で使われる重要な手法です。様々な業界に応じてカスタマイズされた形態が存在し、それぞれのビジネスモデルに対応しています。また、オプションとしての返品条件やリスク分担などが含まれることから、取引の際には条件を事前に理解しておくことが重要です。

もう一度検索