姜夔

姜夔の生涯と業績

姜夔（きょう き）は、南宋時代に活躍した著名な詩人、作曲家、書家です。彼の姓は姜で、字は堯章（ぎょうしょう）、号は白石道人（はくせきどうじん）です。漢字文化圏では、姜白石とも広く知られています。彼は饒州鄱陽県で生まれ育ちました。南宋を代表する詞人として、特にその作品は「野雲の孤り飛ぶがごとく去留迹なし」という評価を受けています。

不明瞭な生没年

姜夔の生没年については不明瞭な部分も多いですが、『白石道人年譜』に基づくと、推測では紹興28年（1158年）に生まれ、紹定4年（1231年）に亡くなったとされています。また、別の研究者によると紹興25年（1155年）生まれ、嘉定14年（1221年）に没したという説も存在します。彼は南宋の湖州烏程県近くの弁山白石洞のそばに住んでいたため、白石道人という号が付けられました。

交友関係

官職には就かなかった姜夔ですが、同時代の詩人として、范成大や楊万里といった著名な文人との親交を結んでいたことが知られています。この関係から、彼は広範な文学的影響を受け、それを自身の作品に反映させています。

『白石道人歌曲』

姜夔の主要な著作の一つである『白石道人歌曲』には、彼の詞が84首収録されています。そのうち17首には楽譜（工尺譜）が付いており、古琴曲「古怨」も含まれています。宋代の楽譜は非常に珍しく、特に音楽資料としての価値が高いです。この楽譜は、彼自身の作曲だけでなく、伝統的な楽曲も網羅しており、音楽史上の貴重な資料となっています。

「古怨」は古琴用の曲の一例であり、早い時代の減字譜の実例としても評価されています。工尺譜は、音の高さを示すために使用されたもので、音の長さを明示していないことが特徴的です。これらの楽譜は、当時の音楽文化を知るための重要な手がかりとなっています。

この作品は嘉泰2年（1202年）に刊行され、6巻と別に1巻が整えられました。この刊本は、陶宗儀によって書写されたもので、清の乾隆年間に陸鍾輝により出版されることとなりました。

彼のその他の著作

姜夔は詩だけでなく、他の文芸作品も多く手がけました。『白石道人詩集』は彼の詩を2巻にまとめたもので、上巻は古体詩、下巻は近体詩を含んでいます。また、詩論を書いた『詩説』や、書論を扱った『続書譜』、さらに北宋の潘師旦の著録にあたる『絳帖平』も残されています。『絳帖平』には、全6巻が存在しています。

結論

姜夔の作品は、南宋時代の文学や音楽の発展において重要な役割を果たしました。彼の詞は今日に至るまで多くの人に愛され、その楽譜は音楽史の中でも貴重な資料とされています。彼の功績は、文人としてだけではなく、作曲家としても高く評価され続けています。

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